2015年11月04日 15:01 弁護士ドットコム
女性だけが離婚後6カ月間は再婚ができないとする民法の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法に違反しているとして、岡山県の30代女性が国に損害賠償を求めている訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は11月4日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。
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1審、2審の判決ではいずれも「離婚後に生まれた子どもの父親をめぐって争いが起きるのを防ぐために設けられた規定だ」として、請求が棄却され、上告していた。
原告代理人の作花知志弁護士は弁論で、「現代の発達した医療であれば、DNA鑑定によって親子関係を明らかにできる。女性に限って6カ月間の再婚禁止期間は必要以上の制約だ」と主張。「父性の重複を防ぐ・父子関係をめぐる紛争を防ぐ」という立法趣旨は「現在では合理的といえず、両性の平等を定めた憲法14条、24条に反し違憲だ」と訴えた。
一方、国側は「国民の誰もがDNA鑑定を利用しているわけではない。父子関係を巡る紛争を防ぐという立法趣旨は現在でも合理性がある」と反論した。また、国会には立法について広い裁量があり、国会が積極的に法改正などをしなかったとしても違法性はないとして、国の対応に問題がなかったことを強調した。
弁論後に開かれた記者会見で、作花弁護士は「再婚禁止の規定は、家制度にもとづいた明治時代の古い法律だ。最高裁には、21世紀の現代にふさわしい判断をしてほしい」と語り、最高裁が判例変更という大きな決断をすることに期待をにじませた。
最高裁は、上告を棄却する場合、書面審査をするだけで、法廷での弁論を開かないことが多い。今回は、最高裁の大法廷が弁論を開いたことから、原告の主張を認めて違憲判決が出る可能性があるとして注目されている。
(弁護士ドットコムニュース)