他人から「友達がいない」と思われたくない気持ちから、ひとりトイレの個室にこもってご飯を食べる人がいるそうです。現代は自分がどこかのグループに属していることが、そこまで重要な時代になっているのかもしれませんね。
10代の悩みや不安に応えるNHK Eテレの「オトナヘノベル」は、10月22日の放送で、ひとりぼっちの「ぼっち」をテーマに取り上げました。その中で「脱・ぼっちの方法」「憧れのリア充になれるコツ」などを紹介していました。
「ぼっち飯」もネタにしてツイッターで発信
ぼっち代表として登場したのは、ぼっちで悩んだ末「ぼっちサークル」を立ち上げた2人の若者。彼らが「脱・ぼっちの極意」を明かします。1人目は、早稲田大学で会員7人の「ぼっち飯研究会」を率いる会長のひなたさん。
ひなたさんは、ぼっちに悩んで大学に行けなくなった過去の持ち主。彼女が実践したのは「隠すな!SNSに出せ!そして笑え!」。ツイッターで自分のぼっち生活をネタにして、面白おかしく発信しました。たとえば、こんなつぶやき。
「屋上階段 ゴミ置き場など 人の来ないところでぼっち飯をする時こそ、フランス映画の主人公のように食べましょう」
さらにぼっちをキャッチーに表現する技として、「ぼっち飯 隣の人も ぼっち飯」などの川柳にまとめることも薦めます。こんな投稿が同じぼっち達の共感を呼び、以前は壁打ちだったテニスも、ラリーを楽しめるようになりました。
ひなたさんは、「悲しむよりも、面白がることでつながりやすくなり、前向きに楽しめるようになる」とポイントを語ります。ぼっちキャラに徹して、ポジティブに表現したことが功を奏したようです。
フルポン村上も「観光施設でぼっち写真」撮った過去
2人目は、武蔵野大学でメンバー10人の「ぼっち飯同好会」会長である拓真さん。大学で友達作りに出遅れて、ぼっちになりましたが、今はサークル活動が盛んで、みんなでピクニックにも行くそうです。
拓真さんが紹介するのは「ぼっちになれば、なんでもできる」という心意気。最初は周囲にぼっちだと見られることが辛かったものの、「ぼっち飯同好会」を立ち上げて色々開き直ってみると「1人でも意外と楽しい」と思えてきたそうです。
披露したのは、1人で遊園地に行ったエピソード。誰よりも早くジェットコースターに乗れたことで、リア充に勝った気分も味わいました。「人がやらないことをやる、周りとは違うという優越感」を感じたそうで、「ぼっち充ってリア充に近いんじゃないか」と心境の変化を語りました。
ここでフルーツポンチの村上健志さんは、観光施設でぼっち写真を撮った過去を明かし、「逆に気持ちよくなってきますよね。俺はひとりでこんな事をやれている。メンタル強いぜと」と拓真さんと意気投合していました。
スマホを捨てれば他人の楽しそうな様子を知らずに済むのに
他人と比べて優越感を感じるのは、ぼっちの悲しさから脱していないような気がしますが、1人で行動する自分を肯定的に考えることができたのなら悪くはない気がしました。MCのヒャダインさんはさすがに大人で、次のような言葉できれいにまとめます。
「リアルが充実していることが『リア充』なんだから、ぼっちが楽しかったらリア充ですよね」
結局2人は新たなグループを作ることで「ぼっち」を解消したわけですが、個人的な率直な感想としては、いまの若い子はなぜ「ぼっち」がそんなに怖いのかと痛々しい気持ちでした。
私も若い頃に孤独感はあったものの、スマホもSNSもなかったお陰で、他人の楽しそうな様子なんて知らずに済みました。「ぼっち」という言葉もなかったので、ひとりで過ごすこと自体にそこまで恐怖はなかったのです。そういう時代に自分の感覚をさかのぼらせてみるのも、ひとつの方法ではないでしょうか。(文・篠原みつき)
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