トップへ

ろくでなし子「ガッカリ」、裁判官が「デコまん」27作品の証拠請求却下

2015年11月02日 19:11  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

わいせつ物公然陳列罪などで起訴された芸術家・漫画家「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告人の5回目の公判が11月2日、東京地裁(田辺三保子裁判長)で開かれた。


【関連記事:ラーメン屋で「1杯130円」のライスだけ注文する客・・・店は断ることができる?】



裁判の最大の争点は、女性器をかたどってつくった「デコまん」と呼ばれる作品や、女性器をスキャンしてつくった3Dプリンタ用のデータが、刑法の「わいせつ」にあたるかどうかだ。これらがわいせつだとする検察側に対し、弁護側はわいせつではないとして、一貫して無罪を主張している。



第5回公判で、弁護側は「デコまん」シリーズのうち、起訴の対象とならなかった作品27点を証拠請求し、それらを取り調べる予定だった。しかし、その証拠請求は「必要ない」として裁判官に却下され、異議申立も棄却された。



公判後に開いた支援者向け説明会で、「ろくでなし子」さんは「作品の説明をしたかったのに、サクッと終了されてしまいました。私としては非常に不満の残る展開でした」と話した。



●弁護団「裁判官は起訴されていない作品を見たことがない」


弁護団の山口貴士弁護士は公判終了後、記者からの質問に対し、27点の作品を証拠請求した理由について、「裁判官は、起訴されていない作品を見たことがない。芸術性や創作性を立証する上で、作品を使いたかった」と話した。ただ、却下されたことが判決に与える影響については、「裁判官がどのような考えで却下したかわからないので、なんともいえない」という。



弁護側はほかに、事件について報じた新聞記事や、大人のおもちゃを販売するウェブサイト、アダルトサイトの情報などをプリントアウトしたものも書面として証拠請求したが、検察が軒並み「不同意」としたため、それらは証拠として採用されなかった。



山口弁護士は「わいせつかどうかの判断は、その時々の社会通念に基づいてくだされる。現在の社会通念について判断するためには、いまどのような物品が流通し、社会に受容されているのかをみていく必要がある」と話した。今後は、物証として一般に流通しているアダルトグッズを証拠請求することなども含めて、対応を検討するという。



●検察・弁護側ともに法律家の意見書を提出


また、検察・弁護側の双方が、法律家の意見書を提出した。検察側が首都大学東京の前田雅英教授(刑法)の意見書を提出すると、対する弁護側は京都大の曽我部真裕教授(憲法)と高山佳奈子教授(刑法)の意見書を出して対抗した。



ほかに弁護側は芸術論として、林道郎・上智大教授、牧陽一・埼玉大教授、土屋誠一・沖縄県立芸術大准教授の意見書を出した。


11月20日の次回公判では、林教授の意見陳述が予定されている。


(弁護士ドットコムニュース)