昨年、労働基準監督署に踏み込まれ、「ブラックIT企業」として一部ネットで話題になったセブンコード(東京・新宿)が11月、新サービス「社畜る」をリリースした。顧客企業の一部業務を、同社で働く「社畜」たちが代行するというものだ。
公式サイトでは、「私たちが、御社の社畜になります」とアピール。サービス内容は主に3つ。「WEB運用代行」は、企業ウェブサイトの制作から運用を代行。「電話代行」は、沖縄にある同社のコールセンターが企業の電話受付業務を請け負う。
プランによっては土日も対応するので、休日に顧客から電話が来ても安心だ。「外回りが多く、なかなか電話が出られない」企業などに適しているという。
「社畜が血と涙を流して残業しているからこそ出来るサービス」
「経理代行」は、企業の煩雑な経理業務を請け負う。「経理ってそもそもめんどくさい」「経理の担当者が突然辞めてしまった」といった企業を想定したサービスだ。いずれも単体では珍しくはないが、「社畜る」では複数のサービスを組み合わせたパッケージプランを用意し、低価格を実現している。
たとえば「優秀な右腕プラン」では、2900円の電話代行プランと9500円の経理代行プランを組み合わせ、月額計1万円で提供。電話代行が実質的に500円になるとしている。人手の足りない中小企業やスタートアップ企業にとって、ちょうどいいサービスだろう。
ただし余りに安いとサービスの質が心配になるが、その点については「ブラック企業に勤める社畜たちが毎日血と涙を流しながら残業しているからこそ出来るサービスです!」と説明。値段は格安だが「クオリティは非常に高いのでご安心ください」としている。
顧客のブラック労働を改善後に、自社をホワイト化する
同社の濱野秀昭代表によると、元々電話代行や経理代行事業を個別に行っていたが、「結局、何をやっている会社か分からない」と言われた。そこで今回、企業の「社畜」が行っている業務をまとめて代行するサービスとして、事業を一本化することにしたという。
しかし、同社は労基署に踏み込まれたブラック企業。そこで働く社畜が社畜の代行をするというのは悪いジョークのようにも感じる。こうした点について、濱野代表は自信満々な様子でこう語っていた。
「自社のことより、まずは顧客である他社のこと。他社の労働環境を改善してから、その後に自社もホワイト化させます。社畜だからこそ、社畜を解放することができるのです」
また「社畜る」では、第4のサービスとして、そのまんまの「社畜代行」のクライアントを募集している。同社の社畜従業員が企業に赴き、「サービス残業」を代行したりする。採用面接を代行し、「新卒にブラック企業社畜エピソードを聞かせ、自社の良さをアピールする」といった活用法も可能とのことだ。
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