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WEC上海決勝レポート:ポルシェ天候急変も克服し、マニュファクチャラーズタイトル決定

2015年11月01日 20:50  AUTOSPORT web

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WEC第7戦上海 優勝した17号車ポルシェ919ハイブリッドのトリオ
FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦上海6時間レースの決勝が行われ、ポールポジションからスタートした17号車ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト、マーク・ウェーバー、ブレンダン・ハートレー組)が優勝。第4戦ニュルブルクリンクから4連勝を達成した。さらにこの勝利により、ポルシェが2015年のマニュファクチャラーズタイトルを確定させた。

 ウエットコンディションの中始まった、上海6時間レース。当初の雨量は多く、第6戦富士同様、セーフティカー先導でのレーススタートとなった。ただ、セーフティカーの先導は富士ほどは長くならず、5周目からレースがスタートする。

 メインストレートで鋭く加速したのは、2番手からスタートした18号車ポルシェ919ハイブリッド。1コーナーでポールポジションスタートの17号車ポルシェ919ハイブリッドのインに飛び込み、早速首位を奪う。3番手スタートの8号車アウディR18 e-トロン・クアトロも加速が鈍く、7号車アウディR18 e-トロン・クアトロが先行。1号車トヨタTS040ハイブリッドも8号車の前に出る。

 先頭に立った18号車ポルシェだが、ターン7で大きく膨らんでしまい、17号車がインに飛び込む。そして、その2台のポルシェの間に、アンドレ・ロッテラーがドライブする7号車アウディR18 e-トロン・クアトロが鼻先を突っ込み、3ワイド状態に。そして、18号車と7号車が接触。18号車ははじかれる格好でスピンし、コースサイドにストップしてしまう。マーシャルの手を借りてなんとかコースに復帰するものの、非常に大きな遅れを取ってしまった。後方では、LMP2マシンもコースオフしており、これらの事故を受けて、コースには再びセーフティカーが出動。

 レース再開後は、17号車ポルシェ919ハイブリッドと7号車と8号車のアウディR18 e-トロン・クアトロがレースを先行する展開。トヨタTS040ハイブリッドはこれについていくことができない。コースオフで大きく出遅れた18号車ポルシェ919ハイブリッドは、コース復帰後はハイペースで走り、21周目には2号車トヨタTS040ハイブリッドに追いつく。

 39周目頃から雨脚が強まり始め、各所でスピンやコースオフが続出。各車のペースも当初よりも5秒ほど落ちていく。そして、LMP2クラスのマシンがコースオフしグラベルにはまってしまったことで、フルコースイエローコーションが発動される。

 先頭の17号車ポルシェ919ハイブリッドが45周目に入ったところでレースが再開。しかしまだ雨脚は強く、ベストラップから20秒近く遅いペースだ。そして、13号車レベリオン・レーシングのコースオフで、再びフルコースイエロー。アウディの2台は、このタイミングでピットインを行っている。

 レース再開は50周目からだったが、今度は1号車トヨタTS040ハイブリッドが最終コーナーでグラベルに捕まり、三たびのフルコースイエローコーション。ポルシェの2台がこの間にピットインし、8号車アウディR18 e-トロン・クアトロが先頭に躍り出る。

 上位は8号車アウディ、17号車ポルシェ、7号車アウディ、18号車ポルシェの4台が、10秒差以内の混戦模様。このうちペースが良いのは7号車と18号車で、67周目には7号車、18号車、17号車、8号車の順に入れ替わる。

 しかし、徐々に天候が回復していくと、絶対的なマシンパフォーマンスに勝るポルシェのペースが上がり、73周目には18号車ポルシェが7号車アウディをオーバーテイク。レース序盤のスピンで、一時最後尾付近まで下がった18号車ポルシェが、なんと先頭に立った。ただ、今度は次第に17号車のペースが勝り始め、101周目に17号車が再び首位が逆転。ポルシェに抜かれたアウディは、早々にインターミディエイトタイヤに交換する。ポルシェがインターミディエイトタイヤを履くのは、アウディの10周ほど後だった。

 その後も路面は急速に乾き、126周目終了時点で8号車アウディR18 e-トロン・クアトロがドライタイヤに交換。コースインしたロイック・デュバルのペースは素晴らしく、これを見た7号車アウディもすぐさまピットイン。そしてこの2台は、先頭を行くポルシェよりも5秒程度速いペースで走行していく。ポルシェ勢もすかさず反応し、132周目にピットに入ってスリックタイヤを履く。この作業中に18号車はアウディ2台の先行を許してしまうが、トップでコースに復帰した17号車ポルシェは、マーク・ウェーバーのドライビングで飛ばしに飛ばし、7号車アウディとの差をあっという間に30秒近くまで広げる。

 150周目を走り終えたところで、7号車アウディがピットインし、ふたたびロッテラーが乗り込んでポルシェ追撃体制を整える。そして、コースに復帰した後は最速タイムを記録しながら、ポルシェとの差を少しずつ詰めていく。ポルシェの17号車がピットインしたのは153周目。これでまだ最後のピットインを行っていない18号車ポルシェが先頭に立ち、それを17号車が僅差で追う。この時点で17号車の首位フィニッシュは堅かったが、2番手は18号車ポルシェと7号車アウディによって激しく争われていた。

 18号車ポルシェは、レースが残り15分となったところで最後のピットイン。タイヤは換えずに給油のみを行ったことで、7号車アウディの前でコースに復帰することに成功する。しかし、18号車のコース復帰後も7号車アウディの方がペースに勝っており、両者の差は5秒と少しという所まで詰まっていく。

 しかし残り11分というところで、LMP2マシンのコースオフ、そして12号車レベリオン・レーシングのクラッシュの影響で、この日4回目のフルコースイエローコーション。追い上げていた7号車アウディのロッテラーにとっては、水を差される形となった。

 残り5分30秒という時点からレースが再開されるが、今度はターン13手前で13号車レベリオン・レーシングが白煙を上げてストップ。これで最後のオーバーテイクのチャンスも奪われ、レースはこのまま決着。17号車ポルシェ919ハイブリッドが4連勝を達成し、18号車ポルシェが2位。7号車アウディR18 e-トロン・クアトロが3位でフィニッシュした。この結果により、ポルシェが2015年のマニュファクチャラーズタイトルを確定させた。

 LMP2クラスは、タイトルを争ううちの1台、47号車KCMGがレーススタート時にコースオフ。一時最後尾まで下がってしまう。その後雨脚が強まると、LM-GTEプロクラスの91号車ポルシェ・チーム・マンタイに全車が先行されるなど、各車苦戦。その中でトップを走ったのがスポット参戦の29号車ペガサス・レーシングだ。彼らはLMP2参戦チーム中唯一ミシュランタイヤを使用しており、コースコンディションがバッチリ合っていたようだ。しかし、路面が回復していくと徐々にペースが鈍り、36号車シグナテック・アルピーヌが先頭へ。G-ドライブ・レーシングの2台がこれに続いていく。KCMGは飛ばしに飛ばすが、なかなか追いつかない。しかし、残り5分というところで28号車G-ドライブ・レーシングが単独スピンを喫してグラベルに捕まってしまったことでチェッカーを受けられず。36号車シグナテック・アルピーヌがWEC初優勝を果たし、26号車G-ドライブ・レーシングが2位、47号車KCMGが3位を得ている。

 LM-GTEプロクラスは、91号車ポルシェ・チーム・マンタイのウエット時のペースが素晴らしく、前述の通りLMP2クラス全車よりも前で走行。この時に築いたリードを守り、トップでチェッカーを受けた。2番手は、終盤51号車AFコルセと92号車ポルシェ・チーム・マンタイが激しく争ったが、イエローコーションにより水入り。レース再開後の5分では時間が足りず、51号車、92号車の順でフィニッシュした。

 LM-GTEアマクラスは、レース序盤は77号車デンプシー-プロトン・レーシングが首位を走ったが、雨脚が強かった際にドライブしたパトリック・デンプシーがスピンを喫するなど苦しみ、4番手に沈む。その後、順位は目まぐるしく入れ替わったが、最終的には83号車AFコルセが首位でフィニッシュ。以下98号車アストン・マーチン・レーシング、72号車SMPレーシングと続いた。

 今季のWECは、次のバーレーン6時間レースが最終戦。11月21日(土)に決勝レースが行われる予定だ。