10月中旬にヨーロッパ発のニュースとして、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)側がスーパーGTのコラボレーションの延期を示唆するコメントを発表した件について、スーパーGTを主催するGTアソシエイションの坂東正明代表が渡欧し、「(DTMとSGTが)背中合わせになっているわけではなく、(コラボに向けての)話し合いは続いている」との認識を明らかにした。
スーパーGT500クラスとの統一車両規定を採用しているDTMが、2017年から導入予定の4気筒ターボエンジンの導入を19年まで延期させる可能性があるとの報道を受けて、坂東代表とDTM側は話し合いを行い、さらに坂東代表は渡欧。ドイツ・ホッケンハイムにて協議を行った。そのDTM側との話し合いを元に、坂東代表はスーパーGT第7戦オートポリスの予選日に国内3メーカーと会合を行い、日曜日のGTA会見の場でメディアに現状を語った。
「ウワサを聞きまして、ホッケンハイムに行ってきました。行くときは『この落とし前はどうするのか』という姿勢でしたが、ドイツでの状況下における話し合いをして回答を得ることができました。一部は報道どおりの部分があり、向こうから議事録として持って帰ってきたものと合わせて、日本のマニュファクチャラー(トヨタ、ホンダ、ニッサン)と話をして結論を出したいと思っています」
「決してコラボが白紙になるとかではなく、前向きに話をしています。背中合わせになっているわけではありません。11月くらいにはドイツ側と一緒に、プレスの方に発表できる形を取りたいと考えています」
ドイツ側が2リッター4気筒ターボエンジンの開発を懸念するコメントが報道されたが、どうやらエンジンが問題の核心ではなく、このタイミングでの態度変更には、どうやらフォルクスワーゲンの排気ガスの不正問題が背景にあるようだ。ドイツを代表する企業でもあるフォルクスワーゲンの国際的な不正問題によって、実質的な補償金額やそれにまつわる金銭的損失が多大なだけでなく、ドイツ国内で自動車、モータースポーツを取り巻く状況が悪化の一途を辿っているという情報がある。
坂東代表も渡欧した際、「ドイツ側の言葉としては出てきていないけど、ドイツの自動車メーカーとして、その関与、もろもろの重さを感じました」とDTM側の重い雰囲気を察したという。
今後、スーパーGTとDTMとのコラボレーションの基本的な方針は変わらないようだが、2017年のコラボ実現という時期は残念ながら延期することになりそうだ。そうなると、スーパーGTの今後の方針が不透明になる。コラボの延期が決まった際、そして次の実現できる期間まで、国内のスーパーGTがどのような体制と運営を行うのか。ドイツ側のお国事情で日本側が振り回される、という形は避けなければならない。国内3メーカーとGTAが今後に向けて、ガッチリとブレない方向性を見せることで国内ファンへの不安を払拭させるとともに、ドイツ側へスーパーGTの存在感をしっかりとアピールしたいところだ。