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大沢樹生さん「息子は自分の子じゃない」と提訴――DNA鑑定だけでは勝訴できない?

2015年11月01日 10:21  弁護士ドットコム

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元光GENJIの俳優・大沢樹生さんが、前妻の女優・喜多嶋舞さんとの間にもうけた長男(18)は自身の子ではないとして、親子関係の「不存在確認」を求めている訴訟の口頭弁論が10月上旬、東京家庭裁判所で開かれた。


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報道によれば、大沢さんは、海外の研究所でDNA鑑定をしたところ「親子関係は0%」とされたと主張しているという。一方、喜多嶋さんは週刊誌のインタビューで「父親は大沢さん」と言い切るなど、両者の主張は真っ向から対立している。当初は調停が申し立てられたが、決裂して、訴訟に至ったようだ。



これまでも父子関係を否定する訴訟は数多く起こされているようだが、判例から、大沢さんと喜多嶋さんの訴訟の行方はどうなることが予想されるだろうか。内山知子弁護士に話を聞いた。



●「親子関係不存在確認」訴訟とは?


「婚姻中に妻が懐胎した子は、たとえ妻が他の男性と不倫をして産んだ子であるとしても、夫の長期海外赴任や服役などの特殊な事情がない限りは、夫の嫡出子としての推定を受けます(民法772条)。



このような場合に父子関係を否定するためには、『嫡出否認の訴え(同774条)』をする必要があります。



しかし、今回のケースでは、『子の出生を知った時から1年以内』と定められた嫡出否認の訴えの提訴期間を過ぎています。そこで、やむなく『親子関係不存在確認』という方法を取ったのでしょう」



大沢さんはDNA鑑定を証拠に「親子関係がない」と主張しているとみられるが、認められる可能性はあるのだろうか。



「親子関係不存在確認の調停・審判の申立の場合であれば、調停や審判に基づいて戸籍の訂正ができます。しかし、調停が決裂して訴訟になったとすると、話は違ってきます」



●DNA鑑定だけでは「父子関係」を取り消せない?


訴訟になると、どんな結論が予想されるのだろうか。



「DNA鑑定を証拠に『父子関係の不存在』を訴えた事案で、2014年7月17日の最高裁第一小法廷判決は、『科学的証明を根拠に法的な父子関係は取り消せない』と判断しています(裁判官5人のうち3人が多数意見という僅差の判決)。



妻が夫によっては懐胎できなかった特殊事情を立証できない限り、これまで築いてきた父子関係を法的に否定できる可能性は低いと思われます。



もし仮に、大沢さんが勝訴して親子関係がないと認められた場合は、慰謝料やこれまでの養育費の返還請求などの問題に発展していくでしょう。また、大沢さんの息子さんは相続権も失います。当人の意思しだいとも思えますが、相続できないという問題に直面するでしょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
内山 知子(うちやま・ともこ)弁護士
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会委員(2009年度、2010年度は副委員長・医療部会長兼任)、子どもの権利に関する委員会委員
事務所名:佐藤勉法律事務所