ウイリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルがポール・トゥ・ウインを飾った1992年以来、実に23年ぶりのF1開催を迎えたメキシコGP。母国ドライバーのセルジオ・ペレスの活躍もあり、金曜日の初日だけで8万9000人ものファンが来場しました。今年の日本GP決勝の入場者数が8万1000人だったことを考えれば、その関心の高さを改めてうかがいしることができます。
走行に関しても、初日としては多くの見どころがあったと思います。まずは多くのドライバーが口にしているグリップレベルの低さ。新たに再舗装されたばかりの路面は前日までの雨も残り非常に不安定なコンディションを作り出しました。ラバーも最初は全く乗っていなかったため、多くのドライバーがコースと格闘する場面がみられ、トロロッソのマックス・フェルスタッペンやウイリアムズのバルテリ・ボッタスらのクラッシュを引き起こしました。
さらに、1km以上のホームストレートとその後の3コーナーから続くロングストレートはブレーキの冷却にも厳しく、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグはハードブレーキングのターン12で左右の後輪から出火するというトラブルに見舞われました。ここでの最高速はメルセデスAMGのルイス・ハミルトンが記録した362km/h。この数値はカレンダー屈指の高速コースとして知られるモンツァで今年キミ・ライコネンのフェラーリが記録した358km/hも上回るものとなりました。
その他にも、海抜2200mの高地にあるエルマノス・ロドリゲスではエンジンパフォーマンスへの影響が事前に指摘されており、特にターボチャージャーの酷使等も懸念。空力では通常よりもダウンフォースの発生量が少ないため、モナコで使われたハイダウンフォース仕様のリヤウイングを持ち込むチームがあるなど、さまざまな面においてドライバーを悩ます要素が盛り沢山でした。
そうしたなか、各チームが決勝を見据えてロングランに取り組む金曜午後のフリープラクティス(FP2)が、久々にドライコンディションのもとで行われました。最近のFP2は鈴鹿の日本GPから先週末のアメリカGPまでいずれも悪天候に見舞われ、ドライバーやチームはロングランのデータがないまま日曜の決勝を迎える事態が続いていました。
厳密には昨日のFP2もセッション中に何度か弱い雨が降り、最後の約10分間は多少雨足が強まったために、ロングランが途中で打ち切られる事態となりましたが、それでも有力チームのドライバーたちは10周前後のロングランに成功しています。
そのなかで最も優れたペースを見せたのがメルセデスAMGの2台とフェラーリのセバスチャン・ベッテルです。いずれもオプション側のソフトタイヤを履いた3台は、1分25秒台からスタートすると徐々にペースを上げて1分24秒台後半に突入。特にベッテルは計測5周目から4周連続で1分24秒台をきれいに並べるなど、非常に安定したペースを披露しました。
一方、ツイスティなコーナーがあるセクター2とセクター3でタイムを伸ばし、FP2を2番手と3番手で終えたレッドブル勢は少し遅れて走行を開始したため3周程度しかまともに走ることができず。それでもダニエル・リカルドは1分24秒台からスタートするなど、引き続き土曜日以降の走りも注目です。
グリップの改善が期待される2日目、天候も気になるところですが、まずは予選に向けて各チームがどう仕上げてくるのか、楽しみに期待しましょう。