FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦上海6時間レースの予選が行われ、17号車ポルシェ919ハイブリッドがふたりのドライバーの平均タイムで1分42秒719を記録し、18号車ポルシェ919ハイブリッドに0.769秒の差をつけ、ポールポジションを獲得した。
現地時間14時から行われたLMPクラスの予選。気温は17.9度で路面温度は20度。完全ドライコンディションで行われた。午前中に行われたフリー走行3回目では17号車ポルシェ919ハイブリッドが1分42秒台という驚くべきタイムを記録しており、これをどこまで伸ばしてくるかに注目が集まる。
セッション開始と同時に各車がコースインして行くが、2号車トヨタTS040ハイブリッドは、大きく他車とはピットインのタイミングを遅らせ、トラフィックを避ける作戦だ。他方、18号車ポルシェ919ハイブリッドは、インラップを行っただけでピットイン。すぐさまリヤカウルを開け、作業を開始する。
ひとり目でトップタイムを記録したのはやはり17号車ポルシェ919ハイブリッドで、ブレンダン・ハートレーがドライブして1分42秒621。8号車アウディR18 e-トロン・クアトロが2番手につけたが、17号車ポルシェからは1秒以上遅れている。7号車アウディR18 e-トロン・クアトロは8号車から僅差の3番手。トヨタの2台はトップから3秒前後遅れてしまった。一度ピットに戻っていた18号車ポルシェ919ハイブリッドは、その後すぐにコースに戻り、あっさりと1分43秒320を記録して2番手。ひとり目のアタック終了時点で、ポルシェが1-2体制だ。
各車ドライバー交代を行い、ふたり目のアタックへ。ここでも、やはり17号車ポルシェが速い。マシンに乗り込んだのはマーク・ウェーバーで、ハートレーに匹敵する1分42秒818を記録してトップを堅持。打倒ポルシェを狙うアウディ勢だが、マルセル・ファスラーがドライブする7号車は、アタックラップ中に12号車レベリオン・レーシングの進路妨害を受け、タイムアップならず。ピットで見守るアンドレ・ロッテラーが、厳しい表情でモニターを見つめる。8号車もルーカス・ディ・グラッシにステアリングを託すが、1分44秒台がやっと。18号車ポルシェはふたり目のロマン・デュマが1分43秒台を記録して2番手を確保し、これでポルシェが今回もフロントロウを独占する形となった。トヨタ勢は、トップから3秒遅れの5番手と6番手につけている。
ちなみに17号車ポルシェ919ハイブリッドのハートレーが記録した1分42秒621は、今年のF1中国GPでルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が記録した、レース中の最速タイム(1分42秒208)にあと0.4秒まで迫る、驚異的なモノだった。
LMP2クラスでは36号車シグナテック・アルピーヌが1分53秒079で1回目のアタックで首位につけ、43号車チーム・サード・モランドが2番手。タイトルを争うG-ドライブとKCMGはその後ろといった状況だった。しかし、ふたり目のドライバーとしてサム・バードを搭乗させた26号車G-ドライブ・レーシングは、LMP2で唯一の1分51秒台を記録し、クラストップでセッションを終了している。G-ドライブとタイトルを争っている47号車KCMGは、ニック・タンディが1分52秒6を記録するも2番手まで。28号車G-ドライブ・レーシングが3番手に続き、今回もLMP2クラスは、激しい決勝レースとなることが予想される。
LM-GTEは、LMPの前に予選を行い、プロクラスでは51号車AFコルセが平均2分02秒243を記録してクラス首位。2番手にも71号車AFコルセが入り、こちらもフロントロウ独占となった。対抗馬と目されていたポルシェ・チーム・マンタイは、4番手と5番手で予選を終了。AFコルセとポルシェ・チーム・マンタイの間には、99号車アストンマーチン・レーシングが割って入っている。
アマクラスでは、ひとり目として元F1ドライバーのペドロ・ラミーを走らせた98号車アストンマーチン・レーシングだったが、その速さをふたり目のポール・ダラ・ラナに繋げられずに3番手。代わってポールポジションを獲得したのは96号車のアストンマーチン・レーシングだった。コルベットC7を使う50号車ラルブル・コンペティションが、2番手となっている。前戦富士でWEC初優勝を達成した、ハリウッド俳優のパトリック・デンプシー擁する77号車デンプシー-プロトン・レーシングは今回精彩を欠き、ブービーとなるクラス6番手で予選を終えている。
今回もポルシェが驚異的な速さを見せた、WEC第7戦上海ラウンド。決勝は、6時間の長丁場となる。そのレースを制するのは、一体どのマシンか? スタートは11月1日12時(日本時間/現地時間11時)の予定である。