2015年F1第17戦メキシコGPは30日(現地時間)、メキシコシティにあるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで幕を開け、午前10時から行われた1回目のフリー走行はトロロッソのマックス・フェルスタッペンがトップタイムをマークした。
前戦アメリカで両チャンピオンシップが決着し、2015年も残り3戦となったF1。迎えたシーズン第17戦は1992年以来、実に23年ぶりの開催となるメキシコGPだ。舞台となる新生エルマノス・ロドリゲスはオールドコースのレイアウトを残しつつも、高速180度コーナーの最終ペラルラーダはホッケンハイムのスタジアムセクションを思わせるレイアウトに姿を変え、周囲も旧野球場のスタンドが囲むなど特徴的なセクションに生まれ変わった。
また、標高2200mの高地にあるサーキットは酸素濃度も通常よりも低く、パワーユニットへの影響が予想される。特にターボチャージャーの酷使や空力ダウンフォースの低下は、各チームにとってチャレンジングな要素となっており「予想外の事態」も懸念されている。
今週末のメキシコシティは3日間ともにわか雨の予想があり、金曜朝のFP1も曇り空だが路面は若干ウエット。ピレリは1周約4.3kmのサーキットにソフトとミディアムの2種類を持ち込んでいるが、オープニングセッションのFP1はインターミディエイトで迎えることとなった。
しかし、各車は開始20分ほどまでインターミディエイトタイヤで周回を重ねていくも、開始25分過ぎにはウイリアムズのボッタスが早くもドライタイヤのミディアムにスイッチ。それまでのトップタイムを塗り替えると、さらに続けてトップタイムが更新されるなど早くもセッションはドライコンディションへと移り変わっていった。
中盤に入ると、今回もロマン・グロージャンに代わってロータスのFP1を託されたジョリオン・パーマーが20番目でタイムを記録し、全車のタイムが出揃う。路面は依然として湿った部分が残っているものの、各車はミディアムタイヤで引き続き周回を重ねていき、セッション折り返しを前に今度はレッドブルのダニエル・リカルドが1分29秒台に入れてトップに浮上した。
その後も路面コンディションの向上とともに上位のタイムは何度も塗り替えられ、残り30分を前にメルセデスAMGのニコ・ロズベルグが1分27秒台のタイムで首位に浮上。トップの最高速も360km/hを超えてくるなど、本格的なドライコンディションのなか各車は大きなアクシデントもなく周回を重ねていった。
ところが、残り30分を切ったところで、アタック中のロズベルグがターン12のブレーキングでオーバーランし左右のリヤホイールから出火するというトラブルが発生。ロズベルグは無事にピットまで戻ることができたが、その後はしばらくガレージで時間を失うことになってしまった。
その間コース上では、レッドブルの2台が1分26秒台のタイムで1-2態勢を形成。2本のロングストレートで構成されるセクター1こそメルセデス勢が速さを見せているが、S字が連続するセクター2と低速コーナーの最終セクションがあるセクタ-3では、いずれもレッドブル勢がベストタイムをマークする展開となった。
結局トップタイムもフェルスタッペンの記録した1分25秒990となったが、彼はアタックラップのS字でショートカットしているため、実質のトップは約コンマ3秒差で2番手につけたレッドブルのクビアトか。ただ、フェルスタッペンも終始好タイムをマークしており、今週末のレッドブルとトロロッソ勢は期待のできる走り出しとなった。
一方、今週末もパワーユニットの交換で2台合計50グリッドの降格が見込まれているマクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソがトップから4秒差の17番手、ジェンソン・バトンもただひとり二桁に届かない9周しか走れず19番手となった。しかもアロンソは、セッション途中にタイヤにカットの痕が発見されたため、原因が分かるまでの措置としてインターミディエイトで走行。結局、最後までドライタイヤに戻すことはできず、周回数も17周で最初の90分を終えることになった。
最多周回はフェルスタッペンの38周だった。