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井口昇監督、中川大志、武田玲奈出演ーーHaKU・MV制作レポート 「甘酸っぱい脱出劇を表現」

2015年10月30日 12:21  リアルサウンド

リアルサウンド

HaKU

 HaKUが11月18日、ニューシングル「衝動」をリリースする。そのMVが本日10月30日、動画サイト『Gyao!』にて先行公開された。(http://po.st/hakushodogyao)撮影が行われたのは9月中旬、都内の某スタジオ。リアルサウンドはその現場に潜入し、今回はMV制作レポートを掲載する。


 今作「衝動」は10月25日(MBS/TBSは10月27日~)からスタートしたTVドラマ『監獄学園-プリズンスクール-』のオープニングテーマに起用されている、HaKUにとって初のドラマタイアップシングル。原作は2011年から『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載中の人気マンガであり、今回のドラマ化で監督を務めるのは、映画『片腕マシンガール』や『電人ザボーガー』、『ヌイグルマーZ』などの作品で知られる鬼才・井口昇氏だ。「衝動」のMVも同じく井口氏が監督を務め、ドラマで主人公・藤野清志役の中川大志、千代役の武田玲奈が出演、ドラマ制作スタッフが撮影を行うなど、『監獄学園』の世界観を色濃く反映したMVとなっている。


 スタジオに入ると、この撮影のために特注されたという電話ボックス程の大きさの“監獄”が2つ置かれていた。撮影はちょうど「衝動」のサビ――HaKUの演奏と中川大志、武田玲奈のダンスが合わさるシーンに差し掛かっている。HaKUのメンバーと中川、武田はこの日が初めての顔合わせだったようだが、囚人服をイメージした衣装を着た役者の二人の姿に、HaKUのメンバーからは「かわいい!」「似合ってる!」と声があがり、現場が和んだところで撮影が始まった。このシーンの見所はバンドの演奏とダンスとの掛け合いであり、後のインタビューでHaKUの辻村有記(Vo&Gu)と中川、武田は次のように語った。


「『衝動』は人と人との間で起こる心の揺れ動く様を歌っていて、今回のMVでは、その表現方法として「ダンス」を入れていただいたんですが、中川くんと武田さんのダンスが素晴らしすぎて、ただただ負けないようにと必死でした。ふたりの繊細なダンスと対比する為にバンドならではの肉体的な演奏をすることを心がけました。自分の中で表情、身体の動きに意味を持たせて伝えるのを心がけて、手の動きひとつにしても、この言葉を届けるには握った方が良いのか、開いた方が良いのか、突き出した方が良いのかなど、ひとつひとつ自分の中での正解を見つけ出すのが難しかったです」(辻村有記)


「久々にダンスを踊って楽しかったです。振り付けはすぐに覚えられましたが、武田さんとタイミングを微妙にズラして踊る振りなどは、少し難しかったです。他のシーンでもダンスがあって、怒りや、恐怖などの感情を全身を使ってダンスで表現するのが難しかったですね。HaKUの皆さんの演奏はとても迫力があって、カッコ良い演奏を目の前にして、ダンスも気合が入りました」(中川大志)


「中川さんとのダンスは振り付けの先生とたくさん練習しました。撮影ではHaKUさんの演奏している姿をずっと後ろから見ていたので、正直言うともっと正面から皆さんの演奏している姿を見たかったです! このシーンはHaKUさんとの素敵なコラボになっているので要チェックです」(武田玲奈)


 井口監督や振付師の細かな演技、ダンス指導があり、大きなNGもなく、撮影は順調に進んだ。初コラボとは思えない見事なコンビネーションで、わずかなテイクで井口監督から「OK!」という声がかけられる。監督とメンバー、役者のふたりそれぞれがハイタッチを交わして、最後はHaKUメンバーと監督、中川、武田が揃って記念撮影を行い、共演シーンの撮影は終了した。
 その後は中川と武田が制服に着替え、ストーリーシーンの撮影へ。井口監督はふたりが撮影に入る前、「ここからだよ!」と再び気合を込め、本気の演技が始まった。HaKUにとって初となる、ストーリー性のある実写MVは、ドラマとのコラボレーションにより力強いものに仕上がった。


 最後にHaKUの辻村有記、井口監督、中川大志、武田玲奈からこのMV撮影や第1話が終了したばかりのドラマについてコメントが届いた。その思いを受け止めた上でMV&ドラマをチェックすると、新たな発見があるかもしれない。


・井口昇監督
 すごく楽しい撮影でした。HaKUさんはとてもかっこよくて、演奏シーンを撮らせていただいてシビれましたね。MVでは曲をイメージして、男の子と女の子の甘酸っぱい脱出劇を表現しました。そしてドラマにも出演している中川さん、武田さんに出ていただいて初々しいフレッシュな現場になったと思います。
 中川さんは、本当に賢い役者さんだと思いました。まず原作をすごく気に入ってくれたことも嬉しいですが、その魅力を自分なりに研究して、どんなバカバカしい場面も真剣に挑んでくれた姿勢に心から感謝します。最初は原作のキヨシよりも美青年過ぎるかと思いましたが、顔を物凄く崩して情けない表情を作ってくれるので、その振り幅と度胸に驚きました。お芝居がとても上手なのにカッコつけないところが素晴らしい。時折しっかりカッコイイ表情を魅せるところも含めて、彼以外のキヨシはもう考えられません!
 武田さんは面接で会った時から、原作から抜け出てきたくらい千代に似てると思ってすぐ決定しました。原作の千代の名台詞である「ごっつぁんでーす」を初めて演じていただいた時は、あまりの初々しさ、可愛いらしさに度肝抜かれました。日本で一番、二次元感が表現できる女優さんではないかと思っています。武田さんは一見フワッとしていて、のんびり屋のように見えますが実は芯がしっかりしている努力家です。稽古の初期はまだ素人っぽさもあったのですが、撮影中の短期間でどんどん芝居が上手になってきたので驚きました。将来が本当に楽しみな女優さんです。


・中川大志
 「衝動」は、ドラマのオープニング映像と共に初めて聴かせていただいたのですが、アップテンポでカッコいいメロディーと、歌詞が監獄学園の世界にハマっているなと思いました。そんな歌詞がMVの手が届きそうで届かない、男女のもどかしい関係性とリンクして描かれているところが見所です。
 監督とは、ドラマ以来の撮影でなんだか新鮮でした。監督自身も「俺だってこういうの撮れるんだよ」と言っていたぐらい、監獄学園とは違う雰囲気の世界観で楽しかったです。檻の中で自由にダンスをするシーンで、監督が、「こんな感じで」ってお手本でやってくれたダンスが、キレッキレで面白過ぎたのが印象に残っています(笑)。
 ドラマは、キャスト、スタッフ全員が、原作を愛して、リスペクトしながら作った作品です。本当に熱いチームで、このドラマが作れて良かったと思っています。ドラマ版『監獄学園』は、生身の役者が演じることで、より生々しく、面白くなったと思います。原作ファンの方にも胸をはってお届けできるものになりました。そして、毎回、オープニングにかかるHaKUさんの「衝動」が今週はどんなことが起こるんだろう!?とワクワクさせてくれます。ドラマと共に、ニューシングル「衝動」が盛り上がることも楽しみにしています。素敵な楽曲を本当にありがとうございました!


・武田玲奈
 HaKUさんは、今回のオープニングテーマで知ったのですが、聴いた瞬間大好きになりました。切なくて青春な雰囲気が好きで、メロディーも一度聴いたら忘れられないです。撮影前に、普通にお話していた時はみなさん柔らかい印象だったのですが、撮影に入るとすごくカッコ良くて、そのギャップに惹かれてしまいました! MVではそのHaKUさんとのシーンや中川さんとのダンスが見所です。プリズンをイメージさせるセットや光の感じがすごく素敵なので、楽しんでもらいたいですね。
 ドラマは原作に近いビジュアル、ストーリーで全国の男子中高生の夢がたくさんつまったドラマです(笑)。原作を知っている方も知らない方も、たくさん笑えてドキドキハラハラできる世界観になっているので、とにかく見てほしいです。今回、こんな素敵な曲のMVに出させていただき、本当にありがとうございました!! 多くの方にHaKUさんの歌とMVを届けられるよう私もがんばっていきます!


・辻村有記(HaKU)
 タイアップが決まって原作を読ませていただいたんですが、まずドラマ化が嘘なんじゃないかという疑いから始まりました(笑)。それぐらい衝撃的な内容だったんですが、読み進めていく内にすっかり虜になり、この世界に自分の音楽が鳴るんだと思うと、すごく興奮したのを覚えています。ドラマタイアップでよりたくさんの人に聴いていただけるということで、バンドの音楽を知るきっかけになってもらえるような曲にしようという意識を今まで以上にもって取り組みました。MVでは、バンドの演奏、そして中川くん、武田さんのダンスが1シーンの中でせめぎあうシーンがすごく好きで、皆さんにもそこで“衝動”を感じていただけたらと思います。
 井口監督には、これまでの作風から、お会いするまではもの凄く恐いイメージを勝手に抱いていました。けれど、最初の打ち合わせでお会いした瞬間、こんなに笑顔が似合う人は会ったことがない、というほど優しい方で、ものすごく安心したのを今でも鮮明に覚えています(笑)。「よりたくさんの人に聴いてほしい」、「感じてほしい」という、結成8年目にしてようやく素直に出た言葉がバンドサウンドを変化させ、今、心の底から伝えたい、奏でたい音楽を作ることができました。この曲が、僕らを知ってもらえるきっかけになったらうれしいです。
(文=編集部/写真=冨田実布)