メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットの標高の高さがパワーユニットに大きな負荷をかけることが予想され、各チームとも今週末は難しい戦いを予想している。
1992年以来のカレンダー復活を果たしたメキシコGPが今週末行われる。舞台となるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは2本のロングストレートを備え、トップスピードは328km/hが予想されている。また、標高2200mの高地に位置しており、これまで最高だったブラジル インテルラゴスの標高800mを大きく上回る。
メキシコの酸素濃度は78パーセントと低く、これがパワーユニットとマシンのパフォーマンスに影響する。酸素が薄いためにターボチャージャーが酷使され、マシンの空力ダウンフォースも低くなる。
「冷却面で問題が出てくるだろう。エンジンから出てくるエネルギーは同じだが空気が薄いからだ」とルノーのヘッド・オブ・トラックサイドオペレーションズのレミ・タファンは述べている。
「もうひとつ問題なのはターボだ。出力を維持するためには回転数をかなり上げなければならない」
「もちろんシミュレーションを行ってきたが、予想外の事態に直面することになるだろう」
ルノーはトークンを入れて開発した新仕様のパワーユニットをアメリカGP前に用意したが、カスタマーチームのレッドブルとトロロッソはそれをまだ使用していない。メキシコは初めてのコースになるためここで新エンジンを導入するのは得策ではないとタファンは述べており、投入は再び見送られるものと考えられている。
マクラーレンのディレクター・オブ・エンジニアリング、マット・モリスはエルマノス・ロドリゲスについてこう語っている。
「シーズン中、最も標高が高いコースで、パワーユニットに負荷がかかる」
「ICEに入ってくる酸素が少ないことでターボはより多くの仕事をしなければならない。どのチームにとっても信頼性がいつも以上に大きな課題になるだろう」
ホンダF1プロジェクト新井康久総責任者も、メキシコGPは楽な週末にはならないと予想している。
「このサーキットは、標高2200mの高地に位置し、世界のF1サーキットの中で最も空気が薄いため、パワーユニット、車体ともその影響を大きく受けます」と新井総責任者。
「ターボの回転数と排気圧力、MGU-Hの熱エネルギー回生のバランスを取り、最適な運転状態を設定する必要があります。また、車体もダウンフォースを得にくくなってしまうため、シャシーバランスもこのサーキットに合わせた独自のセッティングが必要となります」
「直線が長く、モンツァに次いで平均速度が速いサーキットですので、マクラーレン・ホンダにとってチャレンジが多い週末となりそうですが、メキシコにいるファンの皆様のためにも、ベストを尽くします」
マクラーレン・ホンダは、今回は他のサーキットよりも苦しい戦いを強いられると予想し、ジェンソン・バトンとフェルナンド・アロンソの両車のパワーユニット交換を行い、残り2戦のためにフレッシュエンジンをプールする予定だ。