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コーディネートせずアイテム単体で見せる「ハトラ」のルック、その意図は?

2015年10月29日 20:02  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

2016年春夏コレクション Image by: hatra
長見佳祐が手がける「ハトラ(hatra)」が2016年春夏コレクションを発表した。今期は定番のスウェットパーカーに加え、サイバーパンク、テクノカルチャーをベースにグラフィックワークを展開する「GraphersRock」とコラボレーションしたアイテムも製作。コレクションイメージとなるルックブックも公開されたが、今シーズンも引き続きモデルの体が背景と同化し、アイテム単体とモデルの顔以外が浮かび上がったように見えるヴィジュアルに仕上げている。トータルコーディネートで世界観を表現するブランドが多い中、ハトラはなぜ1つのアイテムにフォーカスするのか?

ハトラのルックはなぜ1アイテムだけ?の画像を拡大

 ハトラは、「部屋の居心地を持ち歩きたい」という理念のもと、人と社会の境界線について考え、ひきこもり生活をしている人がその居心地の良い空間を外にも持ち出せるような心地良く安心できる服をデザインしている。2016年春夏コレクションでは得意のパーカーに加え、ボトムスやカットソーなど幅広く展開。4シーズン連続となるアイテム単体とモデルの顔だけを照らしたルックブックも公開した。特徴的なヴィジュアルについて、カバン作家のカガリユウスケから影響を受けているというデザイナーの長見佳祐は「ハトラではアイテム同士を組み合わせることを目的にしていません。例えばバッグ、シューズのブランドがそうあるように、アイテムそのものにスタイルと時流を宿すような試みが衣服でもできないかと考えています」とし、スウェットパーカーを出発点としたブランドならではの考え方で、ものづくりからヴィジュアルまで一環しているという。切り替え線やポケットの位置、アニメに登場するパーカーのように立たせたフードの造形に至る1つ1つのデザインの"意思"を視覚情報で判断できる限界まで伝えようとする試みにより、イメージと着用時の感覚との間になるべく齟齬が生まれないようにしたい考えだ。
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