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【小町の法律相談】心筋梗塞で倒れた父に多額の借金判明、どうすれば?

2015年10月29日 18:41  弁護士ドットコム

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(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)


【関連記事:私の財産を娘ではなく、弟夫婦の子供に渡せますか?】


倒れて意識不明になってしまった父に多額の借金が判明。こんな場合、子どもは父に代わって返済する必要はあるのでしょうか。橋本有輝弁護士に聞きました。


 

Q. 病気で意識不明の父に多額の借金判明、代わりに債務整理はできる?


先日、遠方に住む60代の父が心筋梗塞で倒れました。


現在は心肺補助装置と人工呼吸器で何とか小康を保っていますが、医師からは「覚醒して退院できる可能性は、多く見積もって3割」と言われています。


父の職場や友人へ緊急連絡するため、いろいろと探していたら、銀行やクレジット会社からの多額の借金が判明しました。


この借金は母や私が支払わないといけないのでしょうか。現段階で父名義の財産を母名義に変更したり、父に代わって債務整理を行うことは可能でしょうか。


(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです。トピ「父の借金」はこちら http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/0803/724053.htm)


A.  「支払う必要はありません」


お父様の借金について、ご自身ら親族が支払う必要があるか、というご相談についてですが、支払う必要はありません。


お父様の借金は、あくまでお父様が返済すべきものであって、いかに親子や夫婦などの親族といえども、支払う必要はないのです。ただし、お父様が亡くなった場合は、借金の相続問題が発生する可能性があります。


次に、現段階でお父様名義の財産を母名義などに変更することについてですが、これはやめておくべきです。


なぜなら、お父様の財産がプラスよりマイナスが多いと分かったうえで、プラスの財産を他人に移転させることは、いわば「財産隠し」であり、後から訴えられる等のリスクがあるのです。


ただし、例えばお父様の年金でお母様が生活していたような場合、お父様の財産からお母様の生活費をねん出するような行為は特段問題にはならないでしょう。


最後に、お父様に代わって債務整理を行うことができるか、ですが、これも原則としてできません。お父様は成人ですので、法律上、借金の整理等の行為は、ご自身でする他ないのです。


それでもお父様の借金について債務整理をしておきたいということでしたら、お父様の「成年後見人」を選任するよう家庭裁判所に申立てをしてください。申立書等の書類は家庭裁判所でもらえます。


あなたが成年後見人に選任されましたら、お父様に代わって債務整理をすることが可能になります。




【取材協力弁護士】
橋本 有輝(はしもと・ゆうき)弁護士
兵庫県川西市において、弁護士5名の事務所を経営する。破産、個人再生等の債務整理案件を中心に交通事故、相続等幅広い事件を取り扱う。来年、大阪府豊中市に支店を開設する予定。
事務所名:川西池田法律事務所
事務所URL:http://www.k-i-law.jp/