10月31日といえば、ハロウィン。古代ケルト人がその年の収穫に感謝し、同時に悪霊を追い出すなどの意味をこめて行っていたこの風習、ご存知のとおり、この国では渋谷や新宿で若者がコスプレをして大騒ぎするお祭りとなっている。日本らしい変遷だ。
10月26日放送の「スッキリ!!」(日本テレビ系)で、このハロウィンに関連した特集が組まれた。「仮装続々!フライングハロウィーン」と題されたこの特集について、思うところがあったので書いていきたい。(文:松本ミゾレ)
ハロウィンの仮装行列は不愉快(あくまで個人の意見です)
26日午前0時頃。取材班が渋谷・センター街付近に出向くと、そこには思い思いの仮装をした若者が大勢ごった返していた。海賊、メイド、ゾンビにドラキュラ。各々がコスプレした姿で町を練り歩き、楽しんでいる。こうした風潮は、ここ数年のうちに、決して珍しいものではなくなった。
ハロウィンメイクやグッズを取り扱ったお店も増えてきた。若者が気軽に普段の自分とは別人にイメージチェンジできる良い機会といえば、そうなのかも知れない。31日を待たずして、都会はまさにハロウィン一色。子どもから大人まで、日本独自のハロウィンイベントに夢中になっていた。
こうした特集を、僕は新潟の片隅からぼんやり眺めていた。率直に言えば、都会のハロウィンイベントなんて他人事である。流行の発信地での出来事なんてのは、いつだって地方在住者には無関係なものばかりだし、そんなものがなくとも不自由はない。というか、都会に住んでいながらにしてハロウィンの喧騒を疎ましく思っている人だって少なくないはずだ。
SNSで共有する「繋がり消費」が市場拡大を後押し
さて、番組で提示された情報の中に、気になるデータがあった。ハロウィンの市場規模についてのグラフである。ここ数年のうちに、着実に市場規模が高まっているというのだ。
あくまで推定としながらも、2011年には560億円とされていたハロウィン市場が、2015年には1220億円になっていたのである。たった数年のうちに、2倍以上の規模に膨れ上がっていたとは。これは、1080億円のバレンタイン市場を超えた数値だといい、かなり凄い。
でも、一体何がどうなってここまでの市場規模に膨れ上がる要素があるのだろうか。経営コンサルタントの坂口孝則氏は、取材に対してこう話している。
「ハロウィン市場が拡大した理由は、『繋がり消費』というキーワードで説明できます。今後、消費者はより自分の仮装に凝り出し、かけるお金も大きくなってくると思われます。友達、SNSの『繋がり消費』の相手を巻き込みながら、イベントの市場規模が拡大していくんじゃないかと考えています」
繋がり消費……また耳慣れないワードが出てきたが、要は知人やネットユーザーの目につくような仮装をしようと、とびきりの衣装を用意するために費用を惜しまない人が増えたということか。
しかしこの「繋がり消費」というワードも、何とも耳障りが良くて、本質を滑らかにコーティングしているように思うね。僕なら「目立ちたい消費」とでも名づけてしまいたいところだ。
そもそも、ハロウィンってそんなに楽しい?
さて、番組ではこの特集のVTRを流した後で、視聴者にハロウィンイベントについての生アンケートを実施した。この結果、ハロウィンを「楽しんでいる」とする回答は7838件。「楽しみ方が分からない」はその3倍超の25615件という結果に落ち着いた。
そりゃそうである。バレンタインしかり、クリスマスしかり、海外のお祭りを日本独自の文化として染め上げるイベントですら、昔から興味がない人は興味がないまま。そこへ来て今度は、「ハロウィンは仮装をするために繋がり消費が拡大する」なんて言われたって、僕は誰かに仮装を見てもらいたいという願望は特にない。もしあったとしても、別にハロウィン時期にやる必要性を感じない。
僕も職業柄、時にはバレンタインやらハロウィンをキーワードにしてコラムを書くことはあるけども、出不精なのでそんなイベント、別に参加したりしない。案外、市場拡大を担う仕掛け人もそういう気分なんじゃないかな?
ぶっちゃけ、仮装をして街に出て大盛り上がりすることを、楽しいと思えない。そもそも寒いし、家で鍋でも突いてたほうがいい。友達やSNSユーザーと繋がるために、わざわざお金を使って仮装をする必要はないのでは。
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