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松坂桃李、ブレイクの理由は“正統派ヒーロー感” 『サイレーン』に見る俳優としての強み

2015年10月29日 16:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』公式サイト

 俳優・松坂桃李の活躍がめざましい。2015年はすでに『日本のいちばん長い日』『ピース オブ ケイク』『図書館戦争 THE LAST MISSION』など、6本の映画に出演しているほか、10月20日に放送開始したドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)にて、刑事役の主人公・里見偲役を演じている。


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 若手俳優の登竜門とも呼ばれる“戦隊ヒーローもの”である『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日/09年)で俳優デビューを果たし、その後、連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK/12年)の安岡信郎役や、大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK/14年)の黒田長政役で、存在感を示してきた松坂桃李。『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』では、ゴールデン・プライム帯民放連続ドラマ初主演となり、いわゆる正統派ヒーロー役で華麗なアクションも披露している。同ドラマでは、悪女・橘カラを演じる菜々緒と対照的な役割を演じている松坂だが、なぜ彼は今回、ヒーローとして配役されたのか。


 ドラマ評論家の成馬零一氏に、松坂の役者としての特性からその理由を語ってもらった。


「松坂はいわゆる戦隊ヒーローものからキャリアをスタートさせた俳優ですが、主演を務めた『侍戦隊シンケンジャー』は侍をモチーフとした少し変わった作品でした。松坂演じる主人公の志葉丈瑠 / シンケンレッドが「殿」で、ほかのメンバーが「家臣」という設定になっていて、メンバーの中に明確な上下関係があり、松坂は超正統派のヒーローともいえる圧倒的な存在感を放っていたんです。正義感の強い真面目な青年で、だけどどこか少し惚けているキャラクターのイメージは、その後の役柄にも影響を与えました。現在放送中のドラマ『サイレーン』では、菜々緒演じる悪女を追い詰める刑事役を演じています。こうした正義のヒーロー役は、まさに彼のイメージにぴったりだと思います。特に今作は菜々緒の悪女ぶりが際立っていて、かなりやりたい放題に演じています。悪役が大暴れするためには、それに対峙する正義の役がしっかりとしていなければ、物語が機能しません。そういった意味でも、松坂の正統派ヒーローぶりはうまくハマっているといえるでしょう」


 また、彼のこうした特性は、現在のドラマ界においても貴重だという。


「最近は染谷将太や濱田岳といった個性の強い俳優が目立つ傾向があり、彼のような正統派ヒーロータイプのイケメン俳優は、意外と少ないです。たとえば福士蒼汰とか菅田将暉などもイケメンですが、しかし正統派というと少し違和感があり、個性の強さが目立ちます。堂々と正統派のポジションに居座り、ほかの個性派たちを際立たせることができる松坂のような俳優は、物語を展開するうえで必要不可欠な存在なので、今後も幅広い作品で重宝されると思います」


 一方で、コメディリリーフとしての素質にも期待できると、同氏は指摘する。


「松坂演じるヒーロー役は正統派ですが、たとえば少年漫画の主人公がそうであるように、どこかユーモラスな部分も持っています。今回の『サイレーン』でも、松坂はいまどき、それはないだろうというオタク的な変装で追跡調査をしたりと、クスリと笑える一面を披露しています。こうしたコメディリリーフとしての側面も追求すると、キャラクターに幅が出て、さらに味わい深い俳優となるのではないでしょうか。現在、松坂は27歳なので、30代の頃には脂の乗った名優になっているかもしれませんね」


 正統派ヒーロー・松坂桃李は今後『サイレーン』でどんな一面を見せてくれるのか。悪女・菜々緒との対峙の中で見出される新たな一面にも目を向けたい。(リアルサウンド編集部)