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「奴隷番号制度を拒否する」男性がネットでマイナンバー公開――どんなリスクがある?

2015年10月29日 16:01  弁護士ドットコム

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マイナンバーを一人ひとりに伝える通知カードの郵送が10月23日から始まった。そんな中、ある男性がネット上にマイナンバーを公開して、騒動になった。


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男性は自身のブログで、「私の奴隷番号(マイナンバー)は、●●●●です」と12桁の番号を公開し、「私は奴隷ではありません」「監視社会へと歩を進める為に支配者層にとって必要な『マイナンバー制度』こと、『奴隷番号制度』を拒否いたします」と表明した。



これを受けて、特定個人情報保護委員会は10月27日、ネット上にマイナンバーを公開することはマイナンバー法に違反する疑いがあるとして、ブログから削除するように男性とサイト運営会社に要請した。



マイナンバーを公開することには、どんな問題があるのだろうか。公開した人に、リスクはないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。



●むやみに公開すると罰則が適用される可能性も


「ネット上でマイナンバーを公開することは、マイナンバー法に違反する可能性があります。



マイナンバー法では、マイナンバーを他人に提供してよい場合が定められており(マイナンバー法19条各号)、今回のケースはこれにあてはまらないと思われるからです。



公開したことでただちに罰則等のペナルティがあるわけありませんが、違反行為をやめるように特定個人情報保護委員会から命令を受けて、これに従わないような場合には、懲役や罰金といったペナルティが科せられる可能性があります(マイナンバー法51条、73条)」



●マイナンバーを知られただけでは、具体的な不利益はない


マイナンバーを他人に知られることには、どんなリスクがあるのだろうか。



「マイナンバーについて、『怖い』『番号が漏れたらどうしよう』といった、漠然とした不安を抱えている人もいるでしょう。私自身、マイナンバーについてのセミナーをするたびに、同種の質問を受けます。



結論から言えば、マイナンバーを知られたとしても、それだけで具体的な不利益は発生しません。マイナンバー自体は、単なる数字の羅列に過ぎないからです。



ただし、今月から郵送が始まった通知カードや、マイナンバーカード(個人情報カード)には、マイナンバーだけでなく、住所、氏名や顔写真なども記載されています。



そう簡単になりすましはできませんが、カードが他人に悪用され、個人情報を見られてしまうリスクは少なからず存在します」



西口弁護士はこのように述べていた。



※条文の番号に間違いがありましたので修正いたしました(10月30日)


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/