就職や転職活動では書類審査の後、度重なる面接を経てから内定、というのが大方の筋だ。しかし本当は「面接は不要」なのではないかという説が、ネット上で話題を読んでいる。
10月26日、はてなブログ「きりんの自由研究」に「採用面接は無駄なので全部無くして100%筆記試験で合否を決めるべき」という投稿が寄せられた。筆者は、以前中小企業を経営していたという人物だ。当時アルバイトから新卒まで自ら100回以上面接を行い、数十人の採用に直接関わったが、その結果「面接って意味が無い」という結論に到達したという。
面接は「人間的に困った人材を弾くため」だけに実施
その理由は、採用したスタッフと入社後の活躍を追跡調査したところ、少なくとも「兵隊レベル」のスタッフでは、面接時の感触とその後の生産性に因果関係はないと感じたから。
一方、入社後の活躍に関係があったのが「これまでの職務経歴」。やはり、これまでどんな仕事をして、どんなスキルを身につけてきたかは重要のようだ。
また、キャリアアップの伸び率でいうと、唯一相関関係が確認できたのが「学歴」だという。もちろん高学歴でも「バカ」はいるし、逆に中卒にも優秀な人はいる。だが、高学歴だけに絞れば「3人取れば2人は生産性の高いやつって感じになる」といい、部下には「職務経歴と学歴だけはきっちり評価しろ」と指示していたという。
面接では、イケメンで口達者な低学歴を採用し、ブサイクでぼそぼそしゃべる高学歴を落としてしまうことがある。そのため「いっそのこと採用は100%筆記試験にすべき」とも主張。履歴書とペーパー試験に重点を置き、面接の比重を極力落とすということだろう。
ただし、筆記だけでは「常にナイフを持っている」「ラメの入った蛇革スーツで来る」といった人間的に困った人材が紛れ込んでくる可能性がある。そうした人材を弾くためにも、最小限の簡易的な面接は必要としている。
ペーパーを使う仕事の能力は「ペーパーで測れて当然」
ちなみに、この傾向はあくまで「兵隊レベル」の話であって、会社の「基幹人材」の場合は別だ。会社にとって必要な知識を持っているか確認するために、しっかりとした面接が必要だという。また、人当たりの良さと売上に因果関係があるなら、営業職の採用でも面接は有効だとしている。
今も昔も職探しでは面接が決め手になることが多いが、実はあまり意味がないという説は興味深い。ネットでも話題になり、はてなブックマークが300以上ついた。コメントを見ると「『採用面接で能力は量れない』はおそらくその通り」と同意する人が多いようだ。
「たぶん面接は優秀な人間を選ぶためにあるのではなく、十年に一度くらい現れる、コイツだけは絶対入れちゃダメだっていうマジでヤバイやつを排除するためにあるのだろう」
採用側にとって面接は筆記試験よりもコストがかかるため、無意識に比重が大きくなってしまうという指摘もある。本来ならば「ペーパーを使う仕事の職務遂行能力はペーパーで測れて当然」というのだ。
面接で落ちても「落ち込まないように」という助言も
もっとも、日本の企業は仲間として一緒に働くことを重視することもあり、「人柄を見るために面接は必要」とする声も多い。「自分の部下になる人間だったら面接しておきたいけどね。相性は数値化できないし」という書き込みも寄せられていた。
ちなみに前出のブログでは、企業の面接担当者は自分個人の感想や気分で候補者の合否を決めているとも指摘。「面接で落ちてもあまり落ち込まないようにということ」とアドバイスしていた。
あわせてよみたい:企業が「大卒」を採用条件にする理由