荒天のためにスタートが順延され続けたアメリカGP土曜予選の時間帯に、たくさんのチームとドライバーたちがファンを楽しませるためにさまざまな余興を行ったが、フェラーリのチームプリンシパル、マウリツィオ・アリバベーネとキミ・ライコネンはそれを批判、「F1はサーカスではない」と揶揄した。
ハリケーンの影響でアメリカGPの週末は悪天候に見舞われ、土曜予選のスタートは何度もディレイ、最終的に予定開始時刻から3時間後に中止が決定した。
この間、ファンは強い雨と風にさらされながらセッションスタートを待ち続けた。いくつかのチームはピットでさまざまな余興を行い、「少しでもファンに楽しんでほしかった」と述べている。
ウイリアムズ、フォース・インディア、ザウバーらのクルーはボートレースの真似をし、レッドブルのダニエル・リカルドとダニール・クビアトは社交ダンス、フォース・インディアのクルーはブレイクダンスを披露、カルロス・サインツ父とヨス・フェルスタッペンはトロロッソのレーシングスーツに着替えてコクピットに乗り込み、息子たちはレッドブル缶でボーリング、フェルスタッペンは釣りの真似も。さらに何人かのドライバーが時折グランドスタンドに向かって手を振るなど、ファンを気遣った。
結局予選が日曜に延期されることが決定した後、残っていた観客のためにピットレーンが解放され、ドライバーたちのサイン会が行われた。
待機中にファンのための余興を行わなかったことに関し、フェラーリのアリバベーネは、自分たちはサーカス団ではないと発言した。
「我々はF1チームであって、シルク・ドゥ・ソレイユではない」とアリバベーネが述べたとMotorsport.comが伝えた。
「誰かが観客を楽しませるならそれもいい。大いに結構だ」
「だが我々は待っていた人たちにサインをした。車椅子の子どもたちをピットボックスに招いた。我々はむしろそういったことをしたいのだ。テレビのために魚釣りの真似をしたり、おかしなことをしたりするよりもね。そんなことは本当にファンのためとはいえない」
ライコネンは、順延中にファンを楽しませる行動をとらなかったことについて聞かれ「正直な答えを聞きたい? じゃあ言うけど、ここはF1だ。サーカスじゃない」と答えた。
「僕らが走行しなければ、観客はもちろんがっかりする。(コース上で)走行する以外、何をしたって彼らを喜ばすことなんてできない。でも天候のせいで走るのは不可能だった」
「こういうとき、人はF1とは何なのかを考え始める。誰にも選択の自由があるけれど、僕はここにレースをしにきている。それが仕事なんだ」