トップへ

ゆるめるモ!が伝える“今しか作れない音楽”とは?「もっとたくさんの人を救えるようになりたい」

2015年10月24日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

ゆるめるモ!× 朝倉加葉子監督 インタビュー

 「ニューウェーブアイドルグループ」を標榜する6人組・ゆるめるモ!が、朝倉加葉子監督による映画『女の子よ死体と踊れ』で初の主演を務めることになった。映画についてはリアルサウンド映画部にインタビュー(「ゆるめるモ!× 朝倉加葉子監督が明かす、映画『女の子よ死体と踊れ』の撮影秘話」)が掲載されているのでぜひ読んでほしいが、音楽面も要注目なのだ。


 10月21日に発売される映画スペシャルCD『女の子よ死体と踊れ』は、ゆるめるモ!の中でもエッジの尖った3曲を新たに歌い直してリミックスし、さらに新曲2曲を加えたものだ。


 収録曲のうち既発曲は、ESGオマージュのベースラインが強烈な「あさだ」(初出は2014年の『Electric Sukiyaki Girls』)、同じく「Electric Sukiyaki Girls」初出の「アーメン」、そして2014年のアルバム『Unforgettable Final Odyssey』の終盤を飾っていた壮大なナンバー「OO(ラブ)」。さらに新曲として、「その他のみなさん」「人間は少し不真面目」という曲名からして一筋縄ではいかない2曲が収録されている。2曲とも、作詞は小林愛、作編曲はハシダカズマ(箱庭の室内楽)。小林愛は、初期からゆるめるモ!の楽曲を多数手がけており、特に彼女の作詞した「逃げろ!!」は、ゆるめるモ!というグループの思想性の根幹を表現した代表曲だ。ハシダカズマは、ゆるめるモ!への楽曲提供やバンド編成時のバンマスとして活躍してきた。まさに黄金コンビによる新曲だ。


 さらに映画の音楽は、岸野雄一との「ヒゲの未亡人」でも活動するゲイリー芦屋が担当。今回の音楽面についても、メンバー(もね、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの。ちーぼうは欠席)と朝倉加葉子監督に話を聞いた。(宗像明将)


・「ゆるめるモ!っぽいですけど、意外と今までなかった曲でもある」(あの)


ーー今回、ゲイリー芦屋さんとゆるめるモ!の音楽はどう使いわけたのでしょうか?


朝倉:ゆるめるモ!の映画なので、やはりゆるめるモ!の曲をキーポイントで使っていきたいと思いまして、映画の編集の段階で曲を仮で当てていったんですよね。既存曲は新たに録り直してもらえることになって、新曲は雰囲気の近い既存曲を当てて曲のイメージを伝えて、凄まじいものを作っていただきました。5曲以外はこの映画をまとめあげるためにゲイリー芦屋さんにお願いして作っていただいてます。いろんな表情が出る映画にしたかったので、ゲイリーさんにいろんなジャンルが混ざった曲を作っていただいて、ゆるめるモ!の曲もあって、面白い感じになっています。


ーーゆるめるモ!のメンバーの皆さん、今回の新曲を聴いた感想を教えてください。


ようなぴ:エンディングで流れる曲(「人間は少し不真面目」)が特に好きです。最後に6人が神々しく舞い踊ってるときに流れてきて。レコーディングのときはそこまで感情が生まれてこなかったけど、映画で見たとき美しくて鳥肌が立ちました。


けちょん:「その他のみなさん」の歌詞が映画にすごい合ってるかな。「皆 出会って仲良くなったらすごい大きな『私たち』だね」とか、出会ったら大切なものを見つけたなーというイメージが私にはあって。最後の歌詞も「私だけもしかして ここから消える」とか、映画とリンクしてるなと思いました。


もね:私も「その他のみなさん」の歌詞やタイトルはゆるめるモ!っぽいなと感じるところがあります。「人間は少し不真面目」は、歌詞もメロディーも穏やかな曲はこれまでも「OO(ラブ)」とかがあったけど、それとも違った穏やかさが生まれたなと思います。レトロな歌謡曲の感じだなって思います。


しふぉん:映画を通じて出会いと別れを描いてるんですけど、新曲も出会いから別れまでを描いていて、映画の解説になってます。「その他のみなさん」は、別れをネガティヴに終わらせないものがあって、暖かいメッセージ性がこもってるなと思います。映画とライブで聴くのは全然違うと思うので、映画で聴いた人がどう思うのかなって考えました。


あの:ゆるめるモ!っぽいですけど、意外と今までなかった曲でもあるなと思います。「その他のみなさん」の歌詞はすごく弱音が多いけど、メロディーは楽しい感じだし、自分たちで笑ってるというか、弱い中にも強くて楽しい感じが入ってるのがゆるめるモ!っぽい感じがします。「人間は少し不真面目」は、曲がクレッシェンドで壮大になっていく感じや、途中のファンタジーな曲調が好きです。2曲とも映画とリンクしてて、映画あっての曲だなと思うので、スクリーンで聴いて必ず感じるものがあるんじゃないかなと思います。


・「唯一無二ってうちらが一番体現してる」(しふぉん)


ーー12月20日にはZepp DiverCityでのワンマンライブが控えてますね。意気込みを教えてください。


田家大知プロデューサー:11月11日にはフルアルバム(『YOU ARE THE WORLD』)も出るんです。ナカコー(中村弘二)さん、後藤まりこさん、POLYSICSのハヤシ(ヒロユキ)さんなどが新曲を書いてくれてます。


ーーえっ、初耳ですよ!(※取材時はアルバムの情報解禁前)


全員:(笑)。


ーーでは、アルバムも込みで意気込みをお願いします。


しふぉん:自分たちみたいに弱者に寄り添うグループってないと思ってて、唯一無二ってうちらが一番体現してると思うんですよ。だからZeppを埋めて、もっといい曲を届けて、もっとたくさんの人を救えるようになりたいです。


ーー「救えるようになりたい」ってすごいですね。


しふぉん:そこにたどりつくし、自分たちが心を救えるような存在になれたらいいなと思います。


あの:意気込みとかないんですけど(笑)、いつも言ってるんですけど曲もいいけど、ライブでしか伝わらないこともいっぱいあるから、ライブでバーッとしてるんで、そこが最高じゃん? そこが最高じゃん!(笑) いろいろ意見があるかもしれないけど、気になる人は最高だからライブも見てほしいです。アルバムもまだ数曲しか録ってないけど、いろんな人が書いてくれてるんで聴いてください!


ようなぴ:フルアルバムは、普通のアイドルにはないような曲もあるけど素晴らしいです。アイドルとして見られてると思うんですけど、Zeppはすごくたくさんの人が入れるから、アイドルとかドルヲタとかいう概念を捨てられたらといいなと思います。ドルヲタらしくMIXしてもいいし、ただ体を揺らしてもいいし、すべてがひとつの空間にあることが自然だというのがZeppで感じられたらいいなと思います。


もね:今しか見られないものだと思うし、Zeppもアルバムも今だから作れるものだと思うので、早く見つけてほしいです。アンテナを張ってほしいな。


ーーけちょんさん、最後に締めてください。


けちょん:プレッシャーに弱いんでそういうのやめてください(笑)。「アイドルがやってる映画だから見なくいい」とか、囚われないでほしいです。アルバムも「アイドルだからいいや」とか思わないでほしいし、アイドルとして見てほしくないなと思いますね。Zeppもアイドルのライブとしてではなく、曲がいいなと思ってほしいです。先入観をなくしてほしいです!


(取材・文=宗像明将/写真=竹内洋平)