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向井理、『遺産争族』で“理系俳優”の新境地 親族の内輪揉めをどう解決に導く?

2015年10月24日 12:41  リアルサウンド

リアルサウンド

『遺産争族』公式ホームページ

 向井理が主演を務める木曜ドラマ『遺産争族』(テレビ朝日系)の放送が、10月22日(木)より開始し、初回の平均視聴率が14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となる好スタートを切った。同作は、『ギフト』(1997年、フジテレビ)や『白い巨塔』(2003年、フジテレビ)、『14才の母』(2006年、日本テレビ)などを手がけた井上由美子が脚本を務めており、向井理演じる研修医の佐藤育生が、葬儀会社「カワムラメモリアル」を営む河村家の令嬢・楓(榮倉奈々)と交際・婿入し、同家の遺産相続問題に巻き込まれるというストーリーの社会派ホームドラマだ。


参考:向井理、綾野剛からの結婚祝いに困惑!? 綾野「俺が買ったベビーカーに理の子どもを乗せたい」


 連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(2010年、NHK)では、村井茂(水木しげる)役としてヒロインの旦那を務めた向井理だが、本作ではどんな演技が期待できるのか。


 ドラマ評論家の成馬零一氏に話を聞いた。


「向井理は“理系俳優”として知られていて、決して感情的にならず、物事を理知的に判断していくクールなキャラクターが大きな魅力です。役者にも、直感的に役に入り込んで熱演をする文系タイプと、周囲をよく見たうえで自分の立ち位置を冷静に捉えることができる理系タイプがいると思うのですが、彼の場合は完全に後者でしょう。これまでも、医者や料理人といった役柄が多く、また、熱血な主人公を支えるクールな二番手という印象が強かったと思います。本作は、ドロドロとした親族の内輪揉めを、研修医である主人公が持ち前の落ち着いたキャラクターで解決していくという話なので、彼のイメージにはぴったりではないでしょうか。脇を固める俳優が、伊東四朗や岸部一徳、室井滋といった一癖も二癖もあるベテラン俳優ばかりなので、彼のようなキャラクターを中心に配置することで、うまく物語を展開させていこうという狙いがあるのかもしれません」


 榮倉奈々と夫婦役となるのも、向井理にとって新境地であるという。


「『ゲゲゲの女房』でも夫役を演じた向井ですが、同作の場合は変わり者の夫・村井茂(水木しげる)の姿を、松下奈緒演じる妻の飯田布美枝が見ているという構図だったため、一般的な夫婦ものの物語とは趣きを異にしていました。一方の『遺産争族』ではより一層、結婚や夫婦、家族といったテーマに等身大で向き合い、リアルに演じている印象です。向井がこうした役に挑めるようになったのは、国仲涼子と結婚し、夫婦のイメージが世間に浸透したから、という面もあるでしょう。そういう意味で、向井にとって新たな挑戦となる作品だと思います」


 脚本を務めた井上由美子との相性も悪くないと、同氏は指摘する。


「井上由美子は綿密な取材に基づき、あらゆる社会問題を骨太なエンターテイメント作品として提示する手法に長けた脚本家で、登場人物たちの感情の勢いに任せるのではなく、あくまでも論理的に物語を構築することを目指す作家です。だからこそ、理知的なキャラクターの向井を中心に据えたのだと思います。今後、同作はより生々しい話になり、法律や倫理の問題にも触れてくると思うので、そこを向井演じる主人公がどう捌いていくのかが、大きな見どころとなっていくのでは」


 理系俳優・向井理が、アクの強い俳優陣の中で、そのシャープなキャラクターを発揮することに期待したい。(編集部)