2015年10月23日 07:01 弁護士ドットコム
(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
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名前は親からの最初のプレゼントですが、最近、変わった名前の「キラキラネーム」が珍しくなくなってきました。つけられた子どものほうは、物心ついてから悩むこともあるようです。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、川添圭弁護士に聞きました。
Q. 私の名前はいわゆる「キラキラネーム」です
高校1年生の女子です。私の名前は、いわゆる「キラキラネーム」です。
子どもの頃、この名前のせいでいじめに遭いました。現在の私は、学校の成績は学年でトップクラスで、自分でもかなりまじめな性格だと思っています。
でも、名前を言うと、遊んでばかりいるギャル系だと勘違いされるんです。このままでは、進学や就職の時に苦労するかも知れません。
両親には何度か「なんでこんな名前を付けたの?」と聞いたことがありますが、「親が真剣に考えて決めた名前に文句を言うな」と怒り、まったく取り合ってくれません。
このまま一生、この名前で生き続けるのはつらすぎます。実は、ずっとあこがれているすてきな名前があって、その名前に改名したいのですが、それは可能でしょうか?
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
A. 「未成年でも改名の申し立てができます」
「正当な事由」があれば、家庭裁判所の許可を受けて戸籍上の名前を変更することができます。未成年であっても、15歳以上であれば、親権者(親)の関与は必要なく、自分で家庭裁判所に改名の申し立てができます。
「正当な事由」とは、例えば結婚により姓が変わる際に既に同じ名前の親族がいた場合や、宗教上の襲名などが例に挙げられますが、今回のような「キラキラネーム」も対象になる場合があります。
それは、その名前が「珍奇・難解・難読で社会生活上著しく支障がある」と判断された場合です。
ただ、一口にキラキラネームと呼ばれていても様々な名前がありますので、「珍奇や難解な名前」といえるかどうかは個別に判断されます。
また、単に「自分の名前がキラキラネームに該当する」とか、「自分の名前が嫌だ」という理由だけでは認められません。その名前の使用を続けることで、社会生活上、大きな差し障りがあるかどうかを裁判所が個別に判断した場合に変えることができます。
少なくとも、極端な当て字や、不適当な字の組み合わせ、およそ読みを推測出来ないような難解な漢字の組み合わせであれば、改名できる可能性があるといえるでしょう。
なお、仮に「珍奇や難解な名前」とまではいえない場合でも、変更したい名前を「通称名」として日常生活で使用を続けていれば、その名前が日常生活上定着したと判断された時点で、改名が許可される場合もあります(永年使用といいます)。
永年使用により改名が認められるためには、一般的にその通称名を3~5年程度使い続けることが必要です。
ただし、高校生の場合、メッセージや年賀状などのやり取りだけでなく、学校側の協力を得て、クラス名簿や卒業アルバムなどに掲載される名前も通称名に変えなければなりません。
これは、ご本人の一存では足りず、保護者であるご両親の理解と協力も不可欠ですので、ご質問のケースでは、ご両親に自分の思いをしっかりと伝え、よく話し合うことが必要だと思います。
【取材協力弁護士】
川添 圭(かわぞえ・けい)弁護士
大阪弁護士会所属。離婚・相続などの家事事件、多重債務案件、契約紛争、不動産関連訴訟その他一般民事事件のほか、ソフトウェア法務を中心とするIT関連事件やインターネット関連トラブル、消費者被害事件にも積極的に取り組む。
事務所名:川添法律事務所