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24日開幕フォーミュラE第2シーズン。第1シーズンとの違いをチェック

2015年10月22日 18:50  AUTOSPORT web

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フォーミュラE第2シーズン 開幕戦・北京ePrixのプログラム表紙
いよいよ開幕が迫りつつある、フォーミュラEの第2シーズン。マシンの全コンポーネントがワンメイクであり、最終戦までチャンピオン争いが縺れ込んだ第1シーズンからいくつかの変更点が加えられ、一体どんなシーズン、そして勢力図になるのだろうか?

 第2シーズン最大の変更点と言えば、パワートレインの自由化である。フォーミュラE初年度は、全てのコンポーネントがワンメイクにコントロールされていた。しかし今後はこれを段階的に緩め、最終的にはほとんどの部分の開発が自由化される予定となっている。その第1段階がパワートレインの自由化なのである。

 ここで言うパワートレインには、モーター(MGU)、そのモーターに流す電流を制御するインバータ、ギヤボックス、クーリングシステムなどが含まれる。モーターは独自に開発することが可能になっただけでなく、最大2基まで搭載することが可能。またギヤボックスも、1速から5速まで、各チームが自由に選ぶことができることになっている。例えば、2基のモーターを搭載することを選択したのは、DSヴァージン・レーシングとネクストEV TCRの2チームで、彼らは共に1速ギヤボックスを選択してきた。一方、チーム・アグリとアンドレッティ・オートスポートは、モーターもギヤボックスも昨年仕様のまま。パフォーマンスの向上より、信頼性を重視した結果なのだろう。その他、モーターは昨年のモノを継続使用しながら、ギヤボックスのみ新製のモノを投入してきたチームもある。チームによってその考え方が大きく分かれており、一体どの方法が成功するのか? 実に興味深いところだ。

 この新しいパワートレインを載せたマシンで、各チームがオフシーズンのテストを行い、開幕戦北京ePrixに備えてきた。先に発表された動画でもよく分かるとおり、マシンによってその走行音が大きく異なっている。

 なおレース中の最大出力は、これまでの150kWから170kWにパワーアップ。ファンブーストを獲得すれば、最大200kWまで出力をアップできることになっている。ただ、バッテリーは昨年と同じ物(ウイリアムズ・アドバンス・エンジニアリング製)を使用しなければならないので、エネルギー使用のマネジメントが、これまで以上に重要となってくるだろう。

 その他のレギュレーション変更としては、予選方式の変更が挙げられる。予選での最大出力は、第1シーズンと同じ200kW。全20人のドライバーが4グループに分けられ、アタックを行っていくという形も不変だが、各グループは10分から6分に短縮される。さらに全車がアタックを終えた後、上位5人による“スーパーポール”セッションが行われ、ひとりずつアタックしてポールポジションを争う。

 また、レース中にエキストラパワーを使うことが許されるファンブーストに関しても、変更が加えられている。第1シーズンではレース前に投票が締め切られ、ファンブーストを獲得したドライバーにはグリッド上でそれが通知され、スタート時のマシンと乗り換えた後の2台目のマシン双方で、1度ずつのブーストを使うことができた。しかし今シーズンからは、レーススタートから6分後まで投票が継続され、ブーストを使えるのは2台目のマシンのみとなっている。また、エキストラパワーとして与えられるのは100kJとなっていて、このエネルギーを180kW(通常出力170kW+10kW)~200kW(通常出力170kW+30kW)の範囲内で使うことができる。計算上では、180kWなら10秒に渡ってエクストラパワーを得られるが、200kWの場合は追加パワーを3.3秒しか使うことができない。この貴重なファンからの支援をどう使うのかが、勝敗を大きく左右することになるかもしれない。なお、エキストラのパワーは1回のみしか使えず、例えば180kWに出力を上げて5秒走行×2回というような分割使用はできない。

 開幕戦北京ePrixのコースは、第1シーズン同様、北京オリンピックのメインスタジアムとなった、通称“鳥の巣”の周回道路。ただ、シケインが削減されるなど、1周の距離が短くなっている(3.439km)。その代わりレース距離が1周加算され、26周で争われることになる。

 いよいよ開幕を迎えるフォーミュラE第2シーズン。新しいパワートレインが、激戦だった第1シーズンに、どんなスパイスを加えるのか? ちなみに、北京ePrixのプログラム表紙などに使用されている大会のメインイメージは、昨年のレースの最終ラップの最終コーナーで起こった、ニコラス・プロストとニック・ハイドフェルドのクラッシュシーンをイラスト化したもの。過激なイメージであることは間違いないが、それほどまでに印象的で、フォーミュラEを世界中に知らしめることになったシーンだった。今季の北京ePrixで、我々はどんなシーンを目撃することになるのか? 決勝レースは10月24日(土)17時(日本時間/現地時間16時)スタート予定だ。