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最新版パワーユニットへの不満に「我々は実験台」とメルセデス

2015年10月21日 12:20  AUTOSPORT web

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メルセデスW06&ウイリアムズFW37
メルセデスは、今シーズンいっぱいカスタマーチームに最新スペックのパワーユニットを供給しないのは、あくまで来年に向けたテスト段階のものであり、供給体制も万全ではないからだと主張している。

 9月のF1イタリアGPで“フェイズ4”と呼ばれるアップグレード版を導入。前回のロシアGPでもルイス・ハミルトンが新品PUとしてこれを使用したが、カスタマーチームには供給されず一部からは不満の声も上がった。

 メルセデスのトト・ウォルフは、アップグレード版のPUについて、パフォーマンスとして良い方向に進んでいるものの、メルセデスとしてはカスタマーチームへの供給を前にトラブルなどの不安要素を根絶したいという。

「今回のアップグレードは来年のパワーユニットの方向性を定める上で、重要な開発も担っている」とウォルフ。
「カスタマーチームへの供給は非常に難しい状況であり、特に技術的にレースの中で苦しい部分があることがわかった」
「ただし2016年に向けての全体的な方向性は間違っておらず、全員が利益を得ることになるだろうし、今も開発に注力している」

 メルセデスは来年のパワーユニットをより強力なものにするために、今年残りのレースは自分たちが実験台となってデータを収集、開発に役立てていくという。そのためカスタマーチームへのアップグレード版の供給はストップさせているという方針のようだ。

「技術的な新しい挑戦をして、効率よく精度を上げていくためには、その作業をひとつのチームに集約して行うほうが良い」
「我々が実験台となるが、その段階のものをカスタマーに供給するのはリスクがある。またパワーユニットの大部分を変えているならば、供給体制もしっかり整えなければならい」

 すでにロシアGPでコンストラクターズタイトルが決定し、ドライバーズタイトルも早ければ今週末のアメリカGPで決着する可能性がある。
 一方、カスタマーチームでは、特にウイリアムズのふたりがフェラーリのキミ・ライコネンと選手権4位を争っている。ここに支障がでないように信頼性のある従来版のPUで確実に戦ってほしいというメルセデス側の配慮もあるようだ。