F1商業面のボス、バーニー・エクレストンが、来年F1にV8エンジンを復活させることを考えていると語った。レッドブルの来季エンジンが決まらないこと、メルセデスの圧倒的優位によりF1にファンが関心を持ちづらい状況であるとの声があることなどから、現行のV6ハイブリッド以外のエンジンも走らせたい考えだ。
2014年からF1エンジンレギュレーションが大きく変更され、1.6リッターV6ターボ・ハイブリッドパワーユニットが導入された。しかしエクレストンはそれ以前に使用されていたV8エンジンをルノーかコスワースによって提供させる、あるいはシンプルなKERSシステムを備えた3.5リッターツインターボV6を導入するなど、現行パワーユニット以外のエンジンを走らせることを検討しているとMotorsport.comが伝えた。
レッドブルは来季に向けて現在のエンジンパートナー、ルノーからメルセデスあるいはフェラーリにスイッチしようと試みたが、両者とも最新仕様のパワーユニットを供給することを望んでいない。そのためワークスチームと同等のPUしか受け入れないというレッドブルは、いまだに来季エンジンを確保できておらず、繰り返しF1撤退の可能性をアピールしている。
このようにメルセデスやフェラーリの意向によってF1参戦台数が減少する可能性があることをエクレストンは危惧していると考えられている。
また、昨年からの新エンジンレギュレーションではメルセデスが圧倒的な強さを示しており、ファン離れを懸念する声が一部F1関係者から上がっている。シルバーストンサーキットのマネジングディレクター、パトリック・アレンは「ファンはパレードを見たいわけではない」と述べ、チケットがどんどん売りづらくなっていると発言した。
そういった状況の中、エクレストンはインディペンデントエンジンサプライヤーから現行レギュレーションとは異なるエンジンを供給させることを検討している。
この時期からレギュレーションを変更するには全チームの同意が必要だが、エクレストンはそれが得られなくても自身のプランを推し進めたいと発言した。
「チームから同意を得る必要があるとは考えていない。実行に移すべきだ。彼らにはこう言う。『気に入らなければ仲裁機関に行け』とね」とエクレストンはThe Independentに対して語った。
「来年V8エンジンを復活させることは可能だ。彼らはすぐにでも作れる。やるべきだ」
「フェラーリがカスタマーエンジンをひとつしか供給したくないと言いメルセデスも同じだとする。そうなると誰もエンジンを手に入れることができなくなる。今はそういう状況だ」
「インディペンデントエンジンサプライヤーが必要だ。この1年半、この問題に取り組んでいる」
英autosport.comは、標準カスタマーエンジンの導入は小規模チームが生き残るための助けになるものの、反対しているチームが多く、近い将来実現することはないと報じている。