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MAN WITH A MISSIONとZebrahead「巨大ライブハウス」で夢のコラボレーション披露

2015年10月20日 19:01  リアルサウンド

リアルサウンド

MAN WITH A MISSION、Zebrahead(photo by Nobuyuki Kobayashi & Daisuke Sakai)

 MAN WITH A MISSIONとZebraheadによるジャパンツアー『Out of Control JAPAN Tour 2015』のさいたまスーパーアリーナ公演が10月16、17日に開催された。このレポートでは16日公演の模様をお届けする。


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 ここ日本で今年5月に発売された2組のスプリットEP『Out of Control』は、8月には一部収録曲を変更したバージョンが海外でもリリース。2組は13日に名古屋ダイヤモンドホールでスタートしたジャパンツアーに続いて、今月22日からはヨーロッパツアーに敢行する予定だ。そんな2組の熱い共演を観ようと、会場には大勢のファンが駆けつけた。


 スプリットEP『Out of Control』のジャケットを再現したステージセットには、上手側に巨大なシマウマ、下手側に巨大なオオカミのオブジェを設置。トップバッターのZebraheadはステージに登場するやいなや「Hell Yeah!」からライブをスタートさせ、激しい演奏とパフォーマンスで会場を早くも熱狂の渦に巻き込んでいく。間髪入れずに「Save Your Breath」になだれ込むと、アッパービートに合わせて客席の盛り上がりも一気に加速。曲後半ではアリが日本語で「サイタマ、元気デスカー!」「座ッテクダサイ!」と観客をその場で座らせ、「1、2、3、Jump!」で一斉にジャンプさせ会場の一体感を増していった。


 何度も来日公演を行っている彼ららしく、曲間では「オッパイミセテ」と下ネタを言った後に「冗談デスヨー」を交えたコミカルな日本語MCを展開。しかしいざ曲に突入すると、最新アルバム『Walk The Plank』の楽曲や過去の代表曲を立て続けに披露して会場のロックファンを熱狂させた。また「Devil On My Shoulder」ではMWAMからJean-Ken Johnny、「So What」ではDJ Santa Monicaがそれぞれゲスト参加してZebraheadのライブに華を添える一幕も。この熱演に応えるように、スタンディングエリアのアリーナではサークルピットが発生したりクラウドサーファーが続出したりと、さいたまスーパーアリーナは巨大なライブハウスと化した。終盤では『Out of Control』EP収録の「Lockjaw」を皮切りに、初期の名曲「Playmate of the Year」、そして文字通りのアンセムナンバー「Anthem」で盛り上がりはピークに達した。メンバーは「You guys, amazing!」を連呼して喜びを表現し、ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」をBGMにステージを後にした。


 転換時間を挟んで、いよいよMWAMのライブへ。おなじみのオープニングSE、BAD RELIGIONの「Man With a Mission」に乗せてメンバーがステージに登場し、「Emotion」からライブを開始させる。場内にレーザー光線が飛び交い、ステージ前にはいくつもの炎柱が立ち上がるアリーナライブらしい演出を交えつつ、バンドはアグレッシヴなパフォーマンスを展開。観客は大合唱やクラウドサーフでMWAMの熱演に応え、早くもピークと呼べる盛り上がりを見せた。


 曲間のMCではJean-Ken Johnnyが「さいたまスーパーアリーナ、今日ハアエテコウ呼バセテイタダキマス……ライブハウス、さいたまスーパーアリーナヘヨウコソ! 我々オオカミモ草食動物(=シマウマ)ニ負ケルワケニハイキマセン。オマエラ、キサマラ、全員カカッテコイッテコトダ!」と観客を煽ると、そこから「Get Off of My Way」「Dive」「WELCOME TO THE NEW WORLD」と攻めの楽曲を連発。DJ Santa Monicaは自分の持ち場を離れてアリーナに降りて、前方のキッズたちを挑発していく。さらに「The Cure」をじっくり聴かせつつ、「自分タチモマサカ、ズット聴イテイタ海外ノバンドタチト一緒ニCDヲ出シタリライブガデキルナンテ、思ッテモミマセンデシタ」(Jean-Ken Johnny)と感慨深げに語った後には「database」にZebraheadのアリがゲスト出演する嬉しい演出でライブ前半パートを締めくくった。


 バンドが再びステージに現れると「Far」からライブを再開。無機質なダンスビートとポップでエモーショナルなメロディ&バンド演奏が絡み合うこの曲で、会場の熱気は再加速していく。さらにライブの数日前にリリースされたばかりの新曲「Raise your flag」も他の人気曲と同じように会場のファンから賞賛を受け、フロアからは無数の拳が上がる。そして「DON'T LOSE YOURSELF」「distance」「DANCE EVERYBODY」をミックスしたメドレーを経て、アンセミックな「Seven Deadly Sins」でライブ本編は幕を下ろした。


 アンコールは高揚感を誘うメロディックな「STELLA」からスタート。最新シングルからのこの楽曲も会場のファンから好意的に受け入れられると、MWAMのライブには欠かせない定番ナンバー「FLY AGAIN」へと続く。フロアに向けて無数の銀テープが発射され会場が多幸感に包まれる中、観客はTokyo Tanakaの動きに合わせて、頭上に掲げた両手をリズムに合わせて左右に動かす。さらにクラウドサーファーの数もどんどん増え、最高の盛り上がりの中バンドはアンコールを終えた。


 これでライブは終わりかと思いきや、まだ演奏されていない楽曲が1つ残っていることに気付いた観客は、さらにアンコールを求め続ける。するとステージには新たなドラムセットやギターアンプが追加設置され、会場からは喜びの声と拍手が鳴り響く。そしてMWAMのメンバーに導かれてZebraheadもステージに再登場。ツアータイトルにもなった2組の共演曲「Out of Control」で念願のコラボパフォーマンスが実現した。Jean-Ken Johnnyやマッティはギターを置いて歌に専念し、他のメンバーとともにステージ上を縦横無尽に動き回る。Zebraheadの面々からは笑みがこぼれ、同じく客席のファンも満面の笑みでこれに応える。もはや笑うしかないというほど「Fun」の要素しかないこの夢のコラボパフォーマンスにて、約3時間にわたる「巨大なライブハウス」公演は終了した。


 2組それぞれのライブ中にも感じたことだが、改めてこのコラボ曲をライブで聴いたことで、MWAMとZebraheadがそれぞれ独特な個性の持ち主であることが、そのメロディから強く感じることができた。またZebraheadのメロディセンスが海外のパンク/ラウド勢の中でも非常に日本的で、ライブ中も「これ、このまま日本語で歌ったらJ-POPとして通用するよな」と感じるフレーズ、メロディラインが満載だった。だからこそMWAMとの相性も抜群だったのだろうと、改めて実感できたのは個人的に大きな収穫だった。そんな2組がこの後に繰り広げるヨーロッパツアー。きっと日本での成功をそのまま持ち込んで、現地のロックキッズたちをノックアウトさせるはずだ。(西廣智一)