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八代亜紀、プロジェクションマッピングを取り入れたMV公開 横山剣、THE BAWDIES、中村 中らからコメントも

2015年10月19日 19:41  リアルサウンド

リアルサウンド

八代亜紀

 八代亜紀が、初のブルースアルバム『哀歌-aiuta-』収録曲から、「Sweet Home Kumamoto」のMVを発表した。


(参考:石川さゆり、五木ひろし、八代亜紀……J-POPを歌いこなす演歌歌手まとめ


 同MVは、八代亜紀の故郷・熊本県八代市にあるキャバレー「ニュー白馬」で撮影が行われ、プロジェクションマッピングの技術を駆使したライブスタイルの映像だ。また同楽曲は、伝説のブルースシンガーであるロバート・ジョンソンの名曲「Sweet Home Chicago」のカバー曲で、八代の発案により、故郷・熊本への愛情を歌った日本語詞の楽曲。歌詞の中には、「くまもん」「新幹線・さくら」「球磨川」「阿蘇」「不知火海」といった熊本に纏わる言葉が多数登場しする。


 また、同MV撮影に密着したドキュメンタリーが、10月26日のフジテレビ系「ノンストップ」内にて放送される予定とのこと。なお、OKAMOTO'Sのハマ・オカモト、オカモトコウキが演奏した、THE BAWDIES提供楽曲「Give You What You Want」MVのフルバージョンが、本日より期間限定でGYAO!にて公開されている。


・プロデューサー 寺岡呼人 コメント


 自分でも予想だにしないオファーに最初はビックリしました。しかし、こんなチャンスは滅多にないと思い、二つ返事で引き受けました。レコーディングさせて頂いて、兎にも角にも驚いたのは、その歌唱力と説得力です。リズム録りの際、ご本人はあまり歌いたがらず「そこを何とか!」と仮歌をお願いすると、ビックリするような歌をサラッと歌い、その歌にミュージシャン達も鼓舞され、演奏がガラッと変わるのです。歌入れも大体1テイクから2テイクで終わり。1日で最大5曲の歌を入れた事もあります。しかもどれも完璧なのです。今若手のアーティストの歌入れは1日1曲~2曲が精一杯で、しかも何テイクも録り、コンピューターで細かく直していきます。そんな中での八代さんの歌唱力は僕にとって驚愕に値するものでした。「ボーカリストはかくあるべし」今後の僕自身のキャリアにとっても、とても貴重な体験をさせて頂きました。アルバムのプロデューサーとしては、「洋邦のブルース」というテーマだったので すが、日本のブルースというと、僕ら世代にとっては「歌謡ブルース」「演歌」というイメージが強かったのですが、村田陽一さんのモダンなアレンジ解釈により、むしろ現代の人にこそ聴いて欲しい楽曲に生まれ変わりました。そして、そこに八代さんの唯一無二の声が吹き込まれ、現在進行形の「ジャパニーズブルース」が出来上がったと思っています。更に、クレイジーケンバンドの横山剣さん、THE BAWDIES、中村 中の書き下ろし曲を加える事で、オリジナリティ溢れる「八代亜紀のブルース」 が完成したと思います。八代さんのファ ンの方はもちろん、このアルバムは若い人達にこそ聴いてもらいたいアルバムになりました。是非聴いてみてください。


・「Give You What You Want」提供 THE BAWDIES コメント


 今回、八代亜紀さんのブルースアルバムへの楽曲提供として参加させていただけたことを本当に光栄に感じています。THE BAWDIESのルーツであるブルースがテーマであるからこそ、僕達にしか書けない楽曲を、日本を代表する偉大なシンガー八代亜紀さんに歌っていただきたいと思いました。完成した楽曲を初めて聴いた瞬間、八代さんの魂の宿った歌声の力強さ、包容力に圧倒させられました!そしてこの作品が世代を越えた様々な方に届き、ブルースやロックンロールという音楽が”感情の爆発”であるということを伝えてくれると信じています!


・「ネオンテトラ」提供 横山剣コメント


 八代亜紀さんに曲を書く。子供の頃から作曲家志望だった僕にとってこれは音楽屋冥利に尽きる栄誉で御座います。事前打ち合わせでの八代亜紀さんからのリクエストはずばり「悲しい歌」でした。その時、内心「そう来なくっちゃ!」って思いました。「なぜ応援歌ばかりなんだよ?」「なぜ前向きじゃなきゃいけないんだよ?」「ネガティヴな歌から力を貰った俺の気持ちはどうなっちゃうんだよ!」と…。そんな恨みが全身に駆け巡ってる状況にありましたから余計にね。悲しみを毒とするならば、毒をもって毒を制すのが哀歌の世界。言ってみればブルース。悲しみと真っ正面から向き合う清らかさ、力強さにグッと来るんでしょう。そんな想いに押し出されるように生まれたのが「ネオンテトラ」という楽曲です。寺岡呼人さん、村田陽一さんによる素晴らしいオケに八代亜紀さんの歌声が流し込まれた完成盤を聴いて、無条件に身体が、心が震えました。有り難う御座います!イイネ!イイネ!イイネ!


・「命のブルース」提供 中村 中コメント


 八代亜紀さんとはじめてお会いしたのは、2014年の宮崎でのライブフェスにて。名曲「舟唄」は世代を越えて愛されていて、フェスでの歌唱もド迫力でした。途中のダンチョネ節に聞き入って、息をするのを忘れてしまうほどに。
そんな八代亜紀さんが新たなブルースを歌うとのこと。日本人の解釈で演奏した「日本のブルース」には、どこか仄暗さを感じます。それは、戦後の痛みの中、 昭和という時代の流れの中で、せめて歌の中では夢を見ようとする、人々の「生き様」を感じるからかも知れません。ブルースは、必死に働きながら生きる人々に、喜びや活力を与えてくれます。貧しくとも、さみしくとも、なにくそ!と自分を奮い立たせるために、そして、悲しみは胸に秘め、いたずらに露にしない奥ゆかしい人にこそ、せめて歌の中では、 そっと「怨み」を吐きだして欲しくて、「命のブルース」 は、うまれました。


・八代亜紀コメント


 ご近所さんが座布団を持って我が家に聴きに集まる程の名手であった父の吟う浪曲を子守唄がわりに聴いて育ちました。「声音の変化」「フレーズの抑揚」「ブレスの緩急」そして「言霊」。こういったものが渾然一体となってまだ物心もつかない私の幼心の琴線にも 確実に届いていました。切ない母子ものを聴きながら意味も分からずに「おとうさん、悲しいね」と感想を言っていたそうです。そんな幼時体験を持つ私にとって 「浪曲は日本のブルースである」という持論を持つに至ったのは極自然な流れでした。初めてブルースを聴いた時にもあの時と全く同じ衝撃を経験しました。そして、それは今聴いても変わることはありません。即ち普遍的な「悼み」「哀しみ」は時代、言葉、場所といったギャップを問わないということなのでしょう。今回の「哀歌」でも求めたものは「普遍」。洋邦各年代のカバー、そして21世紀の今を切り取る新作ブルース。12通りの「哀」が詰まった「哀-aiuta-」の完成です。(リアルサウンド編集部)