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FUKIがメジャーデビューで語る、表現への思い 「人の心に寄り添っていける歌を歌っていきたい」

2015年10月19日 16:21  リアルサウンド

リアルサウンド

FUKI

 シンガーソングライターのFUKIが、10月23日にシングル「キミじゃなきゃ」をビクターの新レーベル<AndRec>よりリリースし、メジャー・デビューを果たす。同作は、シェネルや平井大を手掛けたEIGOがプロデュース。制作。"戻りたくても戻れない"切ない恋心にFUKIの歌声が寄り添う楽曲となっている。


 今回、リアルサウンドではFUKIのメジャー・デビューを記念し、インタビューを行った。「キミじゃなきゃ」に込めた思いから、影響を受けた音楽、彼女が親しんできたビーチカルチャーまで語ってもらった。


・「戻りたくても戻れないという「切なキュン」な感じ」


ーー10月23日リリースされるメジャー・デビュー曲「キミじゃなきゃ」からは、夏の終わりの少し切ない風景が浮かびました。


FUKI:デビュー曲を決めるにあたって、他にも気に入っている曲がいくつかありました。その中でも「キミじゃなきゃ」は、"戻りたくても戻れない"というコンセプトがあって、夏が終わって少し経った今の季節にぴったり合っているのかなと。この曲をデビューシングルにすることになりました。


ーー歌詞はどんなふうに?


FUKI:今の季節の情景に照らし合わせて歌詞も書きました。すごく好きな人がいたんだけど、別れてしまったという切ない気持ちを描いていて、戻りたくても戻れないという「切なキュン」な感じを感じてもらえたら嬉しいです。


ーーFUKIさんはとても伸びやかな歌声が印象的で、それは生まれ持った才能だと思うんですね。子供の時から歌手になりたいという気持ちはありましたか?


FUKI:小さい頃から歌手になりたいと思っていましたね。幼稚園くらいかな。幼稚園の卒業アルバムには「アイドルになりたい」って書いていましたね(笑)。それで小学生の時には、安室奈美恵さんが大好きになって。小室哲哉さんプロデュースのアーティストさんをよく聴いていました。それからダンスを中学に入って初めて、洋楽も聴くようになりましたね。安室さんが好きだと言っていたので、ローリン・ヒルを聴いたり、フージーズはすごく聴きました。


ーー初めてオリジナルで曲を作ったのはいつ頃?


FUKI:最初に作ったのは、多分高校2、3年生くらいだったと思います。その時はまだダンスもしていてヒップホップやR&Bがすごく好きで、歌って踊れるような曲を書いていました。


ーーそして本格的に音楽活動をはじめていくきっかけは、プロデューサーのEIGOさんとの出会いだったと聞いています。


FUKI:そうですね。EIGOさんと出会ってからピアノで曲を作るようになって、コードで作る方法も覚えていきました。そうすると慣れていくうちに自分が好きなコードを見つけて、そのコードばかり使ってしまうときがあるんですけど、その時はEIGOさんが雰囲気の違うコードを教えてくれて。EIGOさんは私のやりたいことを聞いてくれて、その上で的確なアドバイスをくれるので、すごくスムーズに曲を作ることができていると思います。EIGOさんと曲を作りはじめて、さらに自分のやりたい方向性が見えてきたと思います。


 声に関しても「癖がなくて素直な声」だと言ってくれています。自然に歌っていたらこうだったという感覚なんですけど、そのストレートな声質は私の武器だと思っています。まず声を聴いてほしいですね。


・「ファッションも含めて、ビーチカルチャーの感覚を伝えていけたら」


ーー「キミじゃなきゃ」で描かれているテーマは恋愛だと思うのですが、FUKIさんが書く曲はラブソングが多いですか?


FUKI:比較的ラブソングが多いのは確かです。友達から聞いた恋愛の話だと、いろんな形の恋愛があるので、それを第三者としての目線で書くことが多いですね。やっぱり私と同年代の友達だとうまくいった恋愛もあるけど、難しい恋愛もあって、それも含めて楽しいことだけじゃなく、切ない気持ちも歌に反映するようにしていますね。


 それから私は、気分が落ちているときのほうが歌詞を思い浮かべやすい気がします。感情が敏感になっていて、違うシチュエーションでも「あのときもそうだったな……」と思い出すことが多くて。それをノートにメモったり、携帯に残したり。だから落ちている時のほうがクリエイティブな力が出るのかもしれないですね。


ーーなるほど、今後いろんな曲が聞けそうですね。さて、デビューシングルは配信という形態でリリースされますが、普段はどういう風に音楽を聴いていますか?


FUKI:以前はダウンロードはせずに絶対にCDを買うほうだったんですけど、一度配信されている曲をダウンロードして聴いたときから、配信でも聴いています。「いいな」と思ったらすぐに聴くことができる気軽さが、配信のいいところですよね。周りの友達も配信で音楽を聴く人が増えてきているので、そういう意味では、配信でデビューすることができて嬉しいです。


ーーアーティスト写真などFUKIさんのビジュアルからは海がイメージとして浮かびますが、そういうカルチャーやライフスタイルもFUKIさんにとっての表現のひとつと言えるのでは?


FUKI:ファッションも含めて、ビーチカルチャーの感覚を伝えていけたら嬉しいですね。海は大好きですし、そういう部分が自然と音楽を通して伝わったらって思います。最近海にはなかなか行けていないんですけど、昔はサーフィンをしに千葉の海に行ったり、湘南や逗子、鎌倉とかに遊びに行ったりしていましたね。海は何も持っていなくても、ずっといれるというか、そこで流れているレゲエとかJ-POPとか海で聴く音楽もすごく好きですね。ただ、今年は海岸規制があって、海もいろいろ変わってきた印象です。逗子は家族連れが多くなったり、由比ヶ浜はギャル……ネオギャルが増えていたり。明るめの髪の毛の女の子が増えている印象です(笑)。


ーー由比ヶ浜にネオギャル……勉強になります(笑)。では、FUKIさんにとって今年の夏の思い出とは?


FUKI:今年の夏は「音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2015」に初めて出演させていただいて、すごく楽しかったです。これまでも海で働いていたこともあって、楽しい思い出が夏にはたくさんあるんですけど、今年の夏は遊びだけじゃなくて、ライブのリハとか、曲の制作もしていたので、すごく充実していましたね。


・「ライブは今の私のエネルギー源」


ーーこれまでとは違う夏だったと。「音霊」でのライブはどういう体験になりましたか?


FUKI:すごくたくさんのお客さんが集まってくれて、楽しんで聴いてくれてとても勇気をもらえました。ライブは今の私のエネルギー源なんですよね。今は私はCDを出していないから、歌を聴いてもらえるのはライブだけで。ライブがないと音楽活動を続けていられないっていうくらい大事な存在で、ライブをすると、笑顔で聞いてくれていたり、自然に口ずさんでくれたりするのを見て「こんなに聞いてくれる人がいるんだ」って実感できて、頑張らなきゃって思えるし。だからこれからは大きなステージで……フェスにもたくさん出てみたいです。


——ー大きな目標を持ちつつ、FUKIさんはいつも自然体ですね。


FUKI:今はとにかく自分が楽しめるようにライブをすることを心がけています。まずは自分が楽しまなきゃ、お客さんも楽しくないと思っていて。しっかり練習して、本番はもう楽しむだけ、というスタンスでいます。めっちゃ緊張はするんですけど(笑)。


ーーこれからはどういうシンガーソングライターを目指していきたいですか?


FUKI:自分がリスナーとして受け取ってきたように、人の心に寄り添っていける歌を歌っていきたいなと思っています。楽しいときも、悲しいときも365日ずっとそばにいれるような。「キミじゃなきゃ」は切ない曲ですけど、楽しい曲もたくさんつくっていけたらなと思っています。そして何年経っても変わらず歌っていたいですね。私の歌を聴いてくれる人がいる限り、ずっと歌っていきたいと思っています。


(取材・文=編集部/写真=竹内洋平)