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スーパーフォーミュラ第6戦:中嶋一貴&石浦宏明、ふたりに聞く一番の後悔

2015年10月19日 10:51  AUTOSPORT web

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予選では2~3番グリッドに並んだ中嶋一貴と石浦宏明
実質、石浦宏明と中嶋一貴の一騎打ちとなった今季のスーパーフォーミュラのチャンピオン争い。残り2戦となり、このふたりのリザルトに注目が集まるが、第6戦のSUGOではお互いミスやアクシデントが重なってしまった。最終的にはポイントリーダーの石浦が5位、一貴が4位で1ポイント一貴が詰めた形となったが、それぞれの週末をタラレバで振り返ると両者の戦いぶり、そして今のスーパーフォーミュラの難しさが良く見え、今回のSUGOが結果以上に濃い週末だったことが分かる。

 まずはSUGOでのふたりのトピックスを、ざっくりと振り返ってみよう。

●中嶋一貴SUGOトピックス
(1)土曜フリー走行でコースオフして、パーツを壊してしまう。
(2)予選Q3でコンマ1秒、アンドレ・ロッテラーに敵わず2番手。
(3)決勝ではスタートでトップに出るも、15周目の1コーナーで「見誤って」ロッテラーにオーバーテイクされる。
(4)決勝29周目に山本尚貴、石浦宏明のピットインに反応してピットイン。
(5)ピットインでほとんどのドライバーがタイヤ無交換の中、リヤ2輪交換を選択。
(6)ピットインで給油リグがすぐに入らず2~3秒ロスし、コースに復帰した際に山本に前を奪われ実質2番手から3番手に後退。
(7)レースペースが上がらず、ピットストップを引っ張った野尻智紀に前を奪われ4位となる。

●石浦宏明SUGOトピックス
(1)予選Q1最初のアタックでセクター3の馬の背でコースオフ。再度アタックしてQ1クリア。
(2)予選Q2で伊沢拓也のアタックを妨害する形になってしまい、伊沢から抗議を受ける。
(3)予選Q3の最後のアタックのターン3でリヤを滑らせ、一瞬ブレーキを踏んでしまい、予選3番手に。
(4)決勝スタートの加速で遅れて3番手から4番手に後退。
(5)決勝27周目、上位陣で真っ先にピットインするも、結局、一貴に前を抑えられてしまう。
(6)一貴のペースに合わせられる形で、ピットストップを引っ張った野尻に前を奪われ5位となる。


 それぞれのトピックスの中で、客観的に見て影響が大きいと思われるのは、一貴は(3)のロッテラーに抜かれたシーンだ。「最初に見たときは距離的に大丈夫だと思っていたら、気づいたときには遅かった。見誤ってしまった」と、一貴は自分のミスであることを認める。次は(6)の給油ミスだろうか。タラレバで言えば、ここで2~3秒速ければ、山本の前でコースに戻れた可能性が高い。「ピットストップで(山本に)前に行かれたのが最後まで響いた」と一貴もポイントに挙げた。

 一方の石浦のトピックスを見て、客観的に一番のターニングポイントになったと思われるのは、(4)のスタートミスか。スタートで遅れたことによって山本のペースに付き合わされ、その後の戦略の幅が狭められた。27周目のピットインも、「あのタイミングで動いてしまったというか……あのタイミングで動かざるを得なかった」と石浦が話すように、前を抑えられ、すでにピットインした小林可夢偉の前でタイヤ交換を終えるための苦肉のタイミングだった。もしスタートで3番手のままでトムス2台の後方につけていたら、もっと早い段階で一貴と直接対決できて違った展開になったかもしれない。

 もっともらしくふたりの週末のハイライトを絞ってみたが、実際に本人に聞いてみたところ、ふたりともそれぞれ違った項目を挙げることになった。われわれはどうしてもレース結果やレースの内容にフォーカスしてしまうが、ドライバー本人にとっては、レース前までのアプローチがとても重要なのだ。

ーー週末を振り返って、一番、後悔している部分はどこか?

一貴「今週末、一番余計だったのはプラクティスで飛び出したことですね。そこでスペアがないパーツが壊れてしまって、そこから週末の流れがおかしくなってしまった」

石浦「予選Q3のミスですね。データで見ても、ミスがなければポールを獲れていた。セクターのベストタイムを合わせたら1分4秒台にも入っていたので、そこは悔しいですね。でも、どこのサーキットに行っても速いという確認はできました」

 一貴は(1)のパーツ破損を挙げ、石浦は(3)の予選Q3の3コーナーのミスを悔やんだ。

 取材を進めて分かったのが、一貴が壊してしまったパーツは、一貴とロッテラーにひとつずつしかないニューパーツで、今回はそのパーツありきでセットアップを進めていたのだということだ。具体的に何のパーツかは分からなかったが、おそらく足回り、ダンパー辺りだと推測される。一貴はそのパーツを失ったことでセットアップの組み立てを乱し、予選ではコンマ1秒差でロッテラーに敗れ、レースペースでも大きく遅れる結果になったと考えられる。

 一方の石浦は、(3)の予選のミスを挙げた。たしかに、このミスがなければレースでさらに前のグリッドからスタートでき、前を抑えられることもなかっただろう。今回の石浦はスタート直後から山本、そしてピット後は一貴の後ろでひたすら付き合うようなレース展開となり、前が開けた状況で周回する機会はほぼ皆無だった。せっかくセットアップをまとめて速いクルマを作れたとしても、そのパフォーマンスを発揮できないままでは良いリザルトは残せない。レースでは「巡り合わせが悪かった」ことになるが、それを導いてしまったのが、予選Q3のミスだったということなのだ。

 こうして振り返ると、レースで起きたあれこれの要因はすべて、レース前に伏線が引かれている。今のスーパーフォーミュラは非常にタイトなタイム差で競っているが、フリー走行や予選のワンミスがここまで大きくレースリザルトに響くのだということを、一貴と石浦の言葉で改めて認識させられた。