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ハイレゾ普及に新展開? ファッション誌とのコラボなど、女性リスナーに向けた動きを探る

2015年10月18日 18:31  リアルサウンド

リアルサウンド

『OTJ』公式サイト

 以前リアルサウンドでも、コラム【ミスチル、くるり、サカナクション、TM NETWORK…ハイレゾ音源が増えている背景とは?】を掲載したように、2015年は音楽界においてハイレゾへの取り組みが盛んにおこなわれている。


 たとえば、ビクターが新レーベル<And Rec>を立ち上げ、第一弾アーティストの丸本莉子は史上初のハイレゾ配信デビューを果たした。また、Androidのスマートフォンがほぼ全ての機種でハイレゾに対応し、3月からはサカナクションやEXILEなどのメジャーアーティストがハイレゾで音源をリリース。10月にはONE OK ROCKが楽曲配信をスタートさせたほか、 “ハイレゾウォークマン”の新モデルが10月に発売されるなど、ハードとソフトの両面で関連トピックが相次いでいる。


 そこで、ハイレゾに関する情報を集める中、筆者は興味深いデータにたどり着いた。2014年9月に長岡技術科学大学の中川匡弘教授と電通サイエンスジャムが実施した共同研究「ハイレゾ音源と従来の圧縮音源それぞれを聴いたときの“脳活動の変化”を明らかにし、誘発される感性を計測する」というものだ。


 同研究の結果、CDレベルの圧縮音源を聴いたときと比較して、ハイレゾ音源を聴いたときの方が、脳は「快感」を約1.2倍、「安心感」を約3倍強く感じ、さらに「不快感」を約4割、「不安感」を約3割減少させるのだという。また、この研究から派生して、脳に快感を与えることが、女性ホルモンの分泌へつながり、肌や瞳に潤いを出すことで、結果として美肌効果を生むという。


 その一方で、女性ファッション誌『Soup.』がmoraとタッグを組み、“オト女”(「音にこだわる女性」という意味らしい)プロジェクトを始動。ハイレゾ配信サイトには、今年3月以降、メジャー楽曲のハイレゾ配信が増加したことに伴い、アニメソングやカタログものを求めるユーザーが多かった市場に、新しいアーティストの曲をもっと良い音で聴きたいという新規リスナーが増えていると聞く。そうした背景を踏まえ、より多くの女性リスナーにハイレゾを訴求しようとする意欲的な取り組みといえるだろう。


 また、2PMなど、女性からの支持も厚いアーティストがコラボモデルのウォークマンをリリースしたり、moraではハイレゾ体験用のブースも設置された女性限定ライブを実施。発信側が女性リスナーがハイレゾに触れる機会を積極的に設けていることもうかがえる。


 リスナーの志向が多様化し、徐々にライトなファンへの浸透ぶりもうかがえるハイレゾ市場。女性リスナー向けの提案も出揃い、ポジティブな変化が多い2015年後半の同市場はさらに拡大するのだろうか。引き続き経過を見守りたい。(向原康太)