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アフリカや中東の難民を受け入れる日本企業 イラン人「日本での難民のイメージ変えたい」

2015年10月18日 17:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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世界で増え続ける難民問題。日本でも少しずつ難民受け入れへの関心が高まりつつある。10月1日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、難民を受け入れる日本企業を特集していた。

今月初め、企業と難民申請者の就職マッチング会が開催された。参加したのは中東などから来た難民認定を申請中の12人と、ホテルやIT、荷役業など6つの民間企業だ。人手不足のため参加したある荷役業会社はこう話す。

「(難民申請者が)仕事に困っているのなら声をかけて、一緒に働いてくれたらお互いにWin-Winだ」

厳しい日本政府の認定ハードル。昨年はわずか11人

「難民」とは、政治や宗教活動などによって迫害を受けるおそれがある人々を指す。ヨーロッパでは今年だけで、中東から50万人もの難民が押し寄せている。EUが12万人の受け入れを表明したものの、一部の国が難色を示して問題は深刻化。日本は難民支援に970億円の支援を表明しているが、受け入れには消極的だ。

日本への難民認定の申請者は年々増加しているものの、昨年は5000人の申請に対して認定された人はわずか11人。難民と認められれば日本政府から援助されるが、申請中の人へはそれがない。日本では出稼ぎ目的と難民との区別を厳しく見ており、認定のハードルが高いのが現状だ。

そんな彼らを活用する民間企業がある。東京・八王子で金属部品を製造する栄鋳造所では、3年前から難民申請者を雇用、現在3人が勤務している。海外への販路拡大をきっかけに、グローバルな環境づくりのため彼らを雇ったという。

カメルーン出身者は正社員、給与も日本人と同じ

しかし社員は戸惑い、「うまくやっていけるのかなと。言葉が通じないから」と不安だった。当初は雇用した8人のうち5人が辞めてしまうなど難しさはあったものの、社員の外国人に対する不安は日に日になくなったという。社員は「コミュニケーションの仕方が分かったのかも。慣れでしょうね」と笑う。

カメルーン出身のコンスタントさんは現在正社員。給料は日本人と同じで「職場は快適だよ。技術を覚えながら働けてうれしい」と笑顔で語った。日本人社員とも、家に招いたり飲みに行ったりする仲になっている。彼らが働く姿は、日本人スタッフの良い刺激になっていると鈴木隆史社長は語る。

「この仕事がなくなったら後がない、という覚悟で働いているのが、ひしひしと伝わってくる」

茨城にある金属部品販売のユーエムは、イラン人のホセさんを社員として雇った。ヨーロッパで絨毯を販売していた経験から、フランス語やトルコ語など8ヵ国語を話せる。海外事情にも詳しく、大きな戦力として活躍している。ホセさんは「難民の、日本でのイメージを変えたい。私もっと、毎日元気に頑張ります」と日本語で語った。

人手不足の「駒扱い」をしてはならない

難民支援協会の吉山昌理事は「優秀といっても人によって経験も働き方も違い、トラブルもあります」と明かした。実際にうまく行くかどうかは、会社がどこまで本気かによるとして「会社を変えていく覚悟で雇ってもらえれば、難民も期待に応えることは可能です」と語る。

ホセさんは政治活動によって迫害を受け3年前に来日。イランにいる家族に会えない寂しさを見せながら「今、私の国、日本です」と語った。国を捨てて必死で逃れてきた人を、人手不足の駒扱いをしてはならない。今回紹介された会社は待遇面や「共に働く」という意識がしっかりしているようで、安心して働いている様子にホッとした。(ライター:okei)

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