写真 予選上位10台がコースレコードをマークしたスーパーフォーミュラ第6戦SUGO。予選のポイント、そして決勝のポイントを関係者のコメントを元に探ってみた。
今回のスーパーフォーミュラ第6戦SUGOの予選では、上位10台が昨年の山本尚貴がマークした1分5秒894のタイムを上回るとともに、2010年から破られていなかった1分5秒843のコースレコードも更新された。今年のアンドレ・ロッテラーが記録した1分5秒005のポールポジションタイムは、昨年よりもおよそコンマ9秒速くなったわけだが、このタイムアップにはさまざまな要因が絡んでいる。
当然、トヨタ、ホンダともにエンジンパワーとドライバビリティが改善し、クルマのセットアップなどのハード面が進化したことも挙げられるが、それ以上に影響が大きいようなのが、路面コンディションの変化だ。SUGOは昨年の12月から1月にかけて全面的に路面を張り替えて新しくしており、最終コーナーで多かったバンプが、かなりスムースになっているというのだ。
「とにかく全開率が高くて、飛び出しそうになりました。アクセルも半分くらいしか戻していないですし、最初の入口で一瞬(アクセルを)抜いて、あとは踏み切りで行くくらいの覚悟が必要です」と野尻智紀が話せば、石浦宏明も「これまで最終コーナーにはバンプがあって、そこはずっとパーシャルだったのですが、今年はパーシャルにはしますけど、すぐにアクセルを踏んでバンプを越えていけるようになった。小暮(卓史)さんの予選タイムを見たら全開で行ったんじゃないかと思いますね」と、今年の違いを表現する。
この路面の改善によってタイムは大きく上がったわけだが、その影響はレース展開にも当然、関与してくる。路面がスムースになってグリップが上がり、タイヤが滑らなくなった分、レースではタイヤのライフ&摩耗が少なくなるのだ。そのため、昨年は左リヤタイヤ1本のみの交換で野尻が優勝したが、今年はほとんどのドライバーがタイヤ無交換でフィニッシュすることが予想される。
燃費面で考えれば8~10周分、給油の必要があるため、オープニングラップのポジション次第で早めのピットイン、そしてオートポリスのようにギリギリまで引っ張ってのピットインの2パターンに分かれることが予想される。
もうひとつ、レースでの懸念材料としてはSUGOでのセーフティカーを考慮しなければならない。今回の予選でも2度、赤旗が出たようにSUGOのレースではアクシデントや接触が多い。セーフティカーが出ると仮定した場合、どのタイミングでピットインをすべきか否か、また、タイヤを交換するか否か、周回数次第でさまざまな選択肢が考えられる。スタートがまずは重要で、そこはドライバーの腕に依る部分が大きいのはもちろんだが、セーフティカー対応というチームの戦略面も明日のレースではクローズアップされることになりそうだ。
予選では伊沢拓也がトラフィックでQ3進出をコンマ1秒差で逃し、石浦もQ3のアタックの3コーナーでリヤを滑らせてブレーキを踏むタイムロス、小林可夢偉もQ3でトラフィックに遭うなど、フラストレーションを抱えたドライバーが多い結果になったが、明日の天候は快晴の方向。フロントロウはPETRONAS TEAM TOM’Sのチームメイト対決、そしてチャンピオン争いと見どころが多く、それらのバトルがスッキリとした秋晴れのような気持の良い展開になれば言うことなしだ。