10月15日の午前、Yahoo!リアルタイム検索に「小規模企業共済」というキーワードが5位にランクインした。発端となったのは漫画家の山本貴嗣さん(@atsuji_yamamoto)のツイートと見られる。山本さんは同制度について、
「小規模企業共済、個人事業主向けなので漫画家も含みます。漫画家は退職金がないんで将来廃業した時の退職金を積み立てるんですが、何年何十年も続けるとそこそこ貯まります。大病したり一時的に失職したとき、その金を借りることもできます」
と説明。自身も積み立てており、そのおかげで「妻の病気入院と私の仕事の途切れが重なった時これのおかげでサバイバれました」と明かした。一連のツイートは5500件を超す反応を集めている。
月1000円から掛けられる「国が作った経営者の退職金制度」
それでは「小規模企業共済」とは、具体的にどのような制度なのか。制度を運営する中小機構のウェブサイトには「国がつくった『経営者の退職金制度』」と書かれており、会社の廃業や解散の際にも受け取ることが可能だという。
主な加入資格は「常時使用する従業員が20人以下の個人事業主および会社の役員」など。従業員が5人以下の弁護士法人や税理士法人などの社員も加入できる。50年の歴史があり、今年3月末時点での在籍件数は約160万7000件。月1000円から掛けることができ、最高7万円まで。現在の予定利率は1.0%だ。
要するに小規模企業の社長が自分の将来に備えておくための退職金だが、従業員はゼロでも入れるので、いわゆるフリーランスで働く人であれば入ることができる。一方で、兼業で事業を行っているサラリーマンは入ることができない。
共済金が最も多く支払われるのは、個人事業廃止・事業主の死亡のケース。月1万円の掛金を10年続けた場合、掛金合計額は120万円だが、受取額は129万600円となる。事業主が配偶者や子に事業を全譲渡したときなどは、掛金とほぼ同額が支払われる。任意解約による「解約手当金」もあるが、掛金納付月数が240か月未満の場合は元本割れとなる。
事業資金の借り入れや節税対策にも
共済金の受取以外にも、事業資金の借り入れができ、担保・保証人不要で掛金納付額の範囲内で貸付けが受けられる。さらには小規模企業共済の掛金は全額所得税控除となるため、節税効果も期待できる。
実際に加入しているという、漫画家やイラストレーターなどの個人事業主からは、メリットを強調する声があがっている。
「自分も小規模企業共済には入ってるよ。共済は入っておくとちょっと安心。なんせ不安定な仕事だかんねぇ」
「これ、入ってる。小規模企業共済。ていうか、今、まさに借りてる。ちょっといろいろあったので…」
制度を知らなかったという漫画家からは、山本さんに対して「大変有益な情報をありがとうございます」「私も制度を利用することにします」と感謝の言葉が寄せられていた。
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