今週、F1エンジンマニュファクチャラー4社とチームの各代表者およびFIAが出席し、エンジン規則変更についての話し合いが行われる。これにより来年に向けてエンジン開発の自由が拡大することになるかもしれない。
現在はパワーユニットの開発が厳しく制限されているため、各エンジンマニュファクチャラーの力関係が変わりにくく、2014年に新パワーユニットが導入されて以来、メルセデスが圧倒的な強さを示している。一方、新PUに苦労しているルノーとホンダが上位とのギャップを縮めるのが非常に難しい状況だ。
こういった事態が問題視されているなか、今週木曜にエンジン規則に関する会合が行われるとMotorsport.comは伝えた。
今年は規則の抜け穴が発見されたためにシーズン中の開発を行うことが可能だったが、抜け穴はふさがれており来年は全マニュファクチャラーが2月末日を過ぎるとエンジンの大きな変更ができなくなる。
ホンダ、ルノー、フェラーリはこの規則が緩和され、シーズン中の開発の許可、開発制限の撤廃が実現することを望んでいる。ホンダとルノーが競争力を発揮してトップ争いができるような状況がF1にとっては望ましいとF1関係者は考えている。
現在優位に立つメルセデスが規則変更に反対してブロックすることも可能だが、彼らはそういった考えは持っていないようだとMotorsport.comは報じている。メルセデスはライバルのフェラーリを警戒しているものの、ある程度開発の自由が認められるようにする必要があると考えている。
7月にメルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは「ルノーとホンダが必要であると考えるなら来年も(シーズン中の開発許可を)導入することを議論しようという話をしている」「ホンダは苦戦している。F1のDNAを変えることなく彼らが追いつくための方法を見つけ出す必要がある」と述べている。
また、現在の規則ではエンジン開発においていくつかのエリアが完全に禁止されているがこれを撤廃するという提案もなされている。たとえば2016年に関してはアッパー/ロワークランクケース、バルブドライブ、カバー、エアバルブシステムといった部分は開発できず、2017年以降も禁止エリアが増えていき、開発の余地がどんどん小さくなっていく。
この“ブラックボックス”規則を完全に撤廃し、エンジンメーカーが開発したいエリアを自由に選べるようにするという提案も行われているという。
一方でコスト上昇を抑えるために、ダイナモテストの制限など、いくつかの案も提示されているということだ。
また現在カスタマーチームに1年落ちのエンジンを提供することを認める規則の導入についても検討されている。9月に開催されたストラテジーグループ会合では、最新仕様のパワーユニットと1年落ちのパワーユニットの供給に関してコスト制限を行うことを議論している。これが実現した場合、カスタマーチームが望めば、比較的安価で前年仕様のPUを手に入れることができる。
エンジンマニュファクチャラーらが全会一致で規則変更に関して合意に達した場合のみ、F1コミッションにこの問題が送られ、そこで全チームの合意が得られれば、FIA世界モータースポーツ評議会の承認の対象になる。