2015年10月13日 11:11 弁護士ドットコム
米アマゾン・ドットコムが、急ぎ便サービス(Amazon Prime)の商品の配達を一般の人に依頼する外注プログラム「Amazon Flex」を米国で始めた。自動車を持つ一般の人が配達可能な時間を入力し、指示を受けて配達する。
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報道やアマゾンのホームページによると、参加者は年齢21歳以上で、自動車と運転免許証、Androidスマートフォンを持っていることが条件。1日2時間、4時間、8時間の範囲で働く時間を選ぶことができる。報酬は1時間あたり、18~25ドル。現在はシアトルだけで人員を募集しているが、今後、ニューヨークやダラスなどでも人員募集が始まるという。
宅配業者ではなく、一般の人が担当するという点が画期的だ。一般人が自家用車で客を運ぶ「ウーバー」や、一般人が自宅に客を泊める「Airbnb」と発想が似ている部分もある。日本での導入となると、国による規制の問題が当然出てくるが、そもそも一般人が配達することの法的リスクはないのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。
「一般の人が単発的に配達を担当する、ということになりますと、悪意を持った人や不注意を犯しやすい人が募集に集まってくる可能性を排除できません。
なかには、頼まれた荷物を届けずに逃げてしまったり、紛失してしまったり、あるいは壊してしまったり、という事故が起こってしまうリスクがあると思います。
宅配業者であればそのようなことをした配達員は解雇するなどして排除することができますが、単発の場合、そうした抑止力がないところが問題でしょう。
身元審査もあるようですが、どうやって配達する人の信頼性を確保するのかといった点が問題になるでしょう」
たしかに、ウーバーについても一時期、運転手によるトラブルが報じられたことがあった。Amazon Flexでも配達員によるトラブルを防ぐための仕組みが求められるのだろう。もしトラブルが起きた場合の賠償責任はどうなるのだろうか。
「一般の人が配達するといっても、配達を担当した人が何らかの問題を起こせば、その人を雇ったアマゾン社も責任を負うことになりますから、客が一切賠償が得られないということは考えにくいです。
ただ、契約の内容にも左右されますが、配達した人なのか、アマゾン社のどちらが責任を負うのかという問題はあるでしょう。
また、配達業務では、お金では償えないような大切な物品が取り扱われることもありますから、配達の安全性を確保する仕組みをどのように整えるかが課題だと思います」
石井弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師
事務所名:石井法律事務所
事務所URL:http://www.ishii-lawoffice.com/