2015年10月11日 10:41 弁護士ドットコム
孫をもつ老人にとって、かわいい孫に小遣いをあげることは楽しみの一つだろう。東京都内在住の主婦、千晶さん(30代)の老親もそんな一人だ。「子どものために、両親から10万円をもらいました」という千晶さん。お金は、0歳のときに作った「子ども名義」の銀行口座に預金したそうだが、「残額を見てちょっと不安が芽生えています」と語る。
【関連記事:25歳キャバ嬢、税金や年金を一度も払ったことがない――マイナンバーでどう変わる?】
なぜなら、まだ5歳の子どもの口座に100万円以上の預金があるからだ。祖父母からのお年玉やお小遣いに加え、千晶さんや夫もときどき入金しているため、思いがけず「お金がたまってしまった」のだそうだ。
「子ども名義の口座は、大学卒業後か結婚時に本人に渡すつもりで、それまではお金を貯めていくつもりです。でも、『贈与税』というものがあると聞きました。このやり方で大丈夫なのか、心配です」
未成年の子ども名義の口座への振り込みでも、「贈与」とみなされることはあるのだろうか。また、こうした子ども名義の口座をもつ上で注意すべき点はあるのか。野口五丈税理士に聞いた。
「子ども名義の口座への預金でも、基本的には『贈与』とみなされます。しかし、1年間(1月1日から12月31日まで)において、贈与を受けた合計金額が110万円以下であれば、贈与税は課税されません」
野口税理士はこう説明する。
では、将来、まとまった金額が貯まった口座を本人に渡す場合、贈与税がかかる可能性はあるのだろうか。
「長い年月の間に贈与を受け、まとまった金額になった場合、贈与税が課税されるケースと、課税されないケースがあります。
課税されるケースとしては、たとえば、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けた場合、1000万の贈与を10回に分けて贈与したのだと、税務署が判断することがあります。
そのように判断されないようにするためには、毎年、金額を変えたり、贈与する日程を変えたりする工夫が必要です」
ちなみに、子ども名義の口座から親が現金を引き出したら、なにか問題になるのだろうか。
「特に問題はないですが、銀行によっては、成人の子ども名義の口座から引き出す場合、本人の委任状が必要なことがあります。未成年の場合は、基本的に必要ないですが、銀行によって多少の違いはあります」
このほか、子ども名義の口座をもつ際に、なにか気をつけるべき点はあるのだろうか。
「いわゆる『名義預金』について、注意が必要です。形式的には家族の誰かの名義で預金していながら、実質的にはそれ以外の真の所有者がいて、その家族の名義を借りているだけという預金のことです。この名義預金に認定されないよう、注意する必要があります」
野口税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
野口 五丈(のぐち いつたけ)税理士
ご紹介文:ITベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。
節税だけでなく、クラウド会計やベンチャーキャピタルからの資金調達、補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。
事務所名:野口五丈公認会計士事務所
事務所URL: http://itsutake.com/
(税理士ドットコムトピックス)