本日より開催されているFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦富士ラウンド。フリー走行2回目開始を前にして、ドライバー記者会見が行われた。
この会見に登場したのは、1号車トヨタTS040ハイブリッドの中嶋一貴、7号車アウディR18 e-トロン・クワトロのアンドレ・ロッテラー、17号車ポルシェ919ハイブリッドのマーク・ウェーバー、13号車レベリオン・レーシングのアレキサンドラ・インペラトーリ、97号車アストン・マーチン・レーシングのダレン・ターナー、そして72号車SMPレーシングのアンドレア・ベルトリーニ……総勢5人である。
今季は苦戦を強いられているトヨタは、今回エンジンにアップデートが入った。しかし、FP1を見る限りでは、まだまだアウディやポルシェとの差は大きそうな感じだ。しかし、中嶋は前向きに「昨年に比べたら、勝つのは難しいだろうね。日曜日は雨らしいから、2013年みたいなミラクルが起きるかもしれないですよ。FP1を見る限りでは、彼ら(アウディやポルシェ)ほどは速くないけど……まあ、日曜日にどうなるか、楽しみにしています」と語った。
一方、FP1でそれまでのLMP1レコードを2秒も更新して見せたロッテラーは、「良いスタートを切ることができたけど、タイヤをたもつのは簡単ではなさそうだね。あのペースは1周だけ……ロングスティントは無理だよ。でも、しっかりとタイヤをマネージメントして、ぜひここで勝ちたいね」
2台のセッティングを変えてFP1に臨んだポルシェ。確かにマシンを見ると、17号車のリヤウイングが小さく薄く、一方18号車は大きなリヤウイングを装着するなど、空力パーツに違いがあるのが分かる。これについてウェーバーは「富士はすごく長い直線があるし、その反面タイトなセクター3があるかからね。でも、週末に向けて良いインフォメーションが得られたと思うよ」と笑みを浮かべた。
会見ではツイッターで寄せられた質問も、出席したドライバーに向けられた。中嶋一貴に対し「なぜスーパーGTを経験したドライバーは速いのか?」との質問が寄せられたが、一貴は「その質問はアンドレ用だよ」と語りながらも、「タイヤや渋滞など、多くの部分をマネージメントしなければならない。そういう点では、WECとスーパーGTは共通していると思う。そして、スーパーGTのレベルはとても高い。(フレデリック)マコウィッキだって、スーパーGTからWECに戻っても活躍しているしね」と回答した。
そして、会見を見学に来ていた足柄小学校の生徒から「レース前にはどんな準備をするんですか?」と尋ねられると、一貴は日本語で「昔は験かつぎで、いつもマシンに同じ方向から乗ったり、同じパンツを履いて……ちゃんと洗ったヤツだよ(笑)、それを履いてレースに臨んだりしてましたけど、レースに慣れてきた今は、そういう事を考えなくても、いつも通りレースができるようになりました。クルマに乗って練習することはできませんけど、運動をして身体をしっかりと暖めたりだとか、イメージトレーニングをしたりといった準備をして、レースに望みます」と答えた。ただこの回答は日本人にしか理解できず、「カズキ、英語でもう一度言ってくれないか」と司会者に返されるひと幕もあった。
また、別の小学生からの質問「レーシングカーにクラクションは付いているんですか?」との質問の回答者に選ばれたのは、AFコルセのベルトリーニ選手。ちょっと苦笑いを浮かべながら「クラクションはないんだ。だからライトを点滅させて合図を送るんだよ。まぁ僕らは、LMP1にパッシングされてばかりいるけどね……」と回答した。