日本GPの決勝レース中に無線で叫んだ「GP2エンジン」発言が話題となり、マクラーレン・ホンダからの離脱が囁かれたフェルナンド・アロンソ。ロシアGPの木曜に出席した公式会見で、2017年までの契約をまっとうすると噂を打ち消した。
アロンソは「バトルをしていてオーバーテイクされれば、あんなふうに自分の気持ちを抑えられなくなることはよくあることだ。鈴鹿より、もっとすごい内容を話したこともある」と、日本GPでの発言に特別な意味はないことを強調した。
チームメイトのジェンソン・バトンは、アロンソの意見に同調。
「フェルナンドが言うように、僕らの無線は、いつも本音だ。特に気持ちが高ぶったときは、かなり激しい内容になることもある。でも、それはマクラーレンとホンダを信頼しているから言えること。フェルナンドも僕も本気でチームを強くしたいと思っているから、怒りもこみあげてくるんだ。黙って、見て見ぬふりはできないから」
そのバトンは10月1日に、2016年もマクラーレンに残留することを発表した。日本GP前には引退説も流れたが、それについてはチームとのコミュニケーション不足があったと認めている。
「もっとチームと話し合う機会を作るべきだった。そうしていれば、ここまで頭を悩ませることもなかったと思う。日本GPのあと、ロン(デニス)と電話で話をして、マクラーレンのファクトリーへ行って、エンジニアたちからマシンとパワーユニットの開発の方向性についての説明を受け、残留する決断をしたんだ。あんなにエンジニアから、いろんな説明を受けたことはなかったからね」
言いすぎたアロンソ、そして言うべきことを言わなかったマクラーレン。前者のほうがインパクトがあったため「GP2エンジン」という言葉ばかりがひとり歩きしているが、実は後者のほうが根の深い問題である。マクラーレン・チームも、そしてホンダも、ドライバーがモチベーションをキープできるよう、きちんとしたコミュニケーションは必要不可欠。苦しいときこそ、それを忘れてはいけない。
(尾張正博)