2015年10月09日 10:01 弁護士ドットコム
(この質問は、「Yomiuri Online」の人気企画「発言小町」に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
女性が離婚した場合のポイントの1つは、旧姓に戻すかどうかということでしょう。離婚して20年以上経つ女性から、「旧姓に戻して、実家のお墓に入りたい」という相談がありました。竪十萌子弁護士に聞きました。
Q. 離婚から二十数年経過、母は旧姓に戻れる?
二十数年前に両親が離婚し、私は母と暮らしてきました。母は離婚して名字が変わるのは私のためによくないと考え、私たち母子は、父の名字を使ってきました。
ところが、最近、母から「旧姓に戻って、実家のお墓に入りたい」と打ち明けられました。どうやら母は、私が結婚したら旧姓に戻ると決めていたらしいのです。しかし、私には結婚の予定はありません。
母の兄弟も「旧姓に戻れば、(実家の墓に)入っていいよ」と言ってくれています。母の望みを叶えてあげたいのですが、離婚から二十年以上たっています。旧姓への変更はできるのでしょうか?
かりに変更できたとしても、現在、私たち親子は県営団地に住んでおり、1世帯に違う苗字の者同士が引き続き居住していいのでしょうか?
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです。※トピ「離婚から二十数年後、旧姓に戻ることは出来ます?」はこちらhttp://komachi.yomiuri.co.jp/t/2015/0822/726707.htm)
A. 裁判所の許可を得れば可能です
離婚の際に、「婚氏続称の届」を出し、父の名字を名乗っていた場合、旧姓に戻るためには、「氏の変更の申立」を家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所の許可を得る必要があります(戸籍法107条1項)。
氏の変更が認められるためには、「やむを得ない事由」が必要となります。ですから、現在の氏で社会生活上不利益・不便を生じている事情や、旧姓に戻る必要性等を主張する必要があります。
今回のご相談でも、実家のお墓に入れないことを始め、その他、氏を変えたいと思う事情を主張する必要があるでしょう。
もっとも、通常の氏の変更の場合よりも、「旧姓に戻す」という場合は、認められやすい傾向にあります。ですから、家庭裁判所に、氏の変更の申立をして、旧姓に戻る「やむを得ない事由」を主張し、それが認められれば、旧姓に戻ることが出来ます。
次に、お母さんが旧姓に戻り、名字の違う者同士が引き続き県営住宅に住んでいられるか、という点ですが、名字が違っても、実態は今までと変わらず同一世帯であることは変わりませんので、県営住宅に名字が変わった届け出は必要になる場合はあるかもしれませんが、引き続き居住していてもちろん大丈夫です。
【取材協力弁護士】
竪 十萌子(たて・ともこ)弁護士
女性・子どもの問題、貧困問題、労働問題、刑事事件等、依頼者に寄り添いながら、市民に密着した弁護活動を精力的に行っている。最近は、憲法をママ達に気軽に伝える憲法ママカフェも各地で開催している。弁護活動は各メディアにも多く取り上げられている。
事務所名:埼玉中央法律事務所
事務所URL:http://saitamachuuou.gr.jp/