レッドブルが2016年に勝てるパワーユニットが手に入らなければF1から撤退すると宣言していることに関し、ライバルチームはF1のためにレッドブルには活動を続けてほしいが、撤退することになったとしてもF1が致命的なダメージを受けるわけではないと述べている。
レッドブル・レーシングはエンジンパートナーのルノーとともに2010年から2013年まで4年連続ダブルタイトル獲得という偉業を成し遂げた。しかし2014年のエンジン規則改正によりルノーが失速、それをきっかけに両者の関係が悪化し、契約期間1年を残し今季末で袂を分かつべく交渉が行われている。
レッドブルは代わりのパワーユニットとしてメルセデスを望んだが、交渉決裂し、現在はフェラーリと話し合いを行っている。フェラーリは現段階ではワークスチームが搭載するものより性能が劣る仕様を提供することしか考えていないといわれているが、レッドブルの上層部はワークスと同等のパワーユニットが得られず勝てるチャンスが期待できないのであればトロロッソと共にF1から撤退すると発言している。
レッドブル陣営が去ることになれば、2016年はハースF1が新加入するもののF1は9チーム18台にグリッドが縮小することになる。
メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、レッドブルの撤退はF1にとってマイナスになるのは確かであるが、もし去ったとしてもF1が破綻するほどのダメージは受けないと述べた。
「(レッドブルが)撤退しないことを願っている。レッドブルは非常に人気のあるブランドで、F1にとって重要な存在だ。彼らがエンジンサプライヤーを見つけてF1に残ることを願っている」。今月オーストリアで開催されたスポーツに関する国際会議キャンプ・ベッケンバウアー・グローバルサミットにおいてウォルフがそう語ったとF1iが伝えた。
「(パワーユニットを確保するための)交渉が今、行われている。我々とではないが。レッドブルとトロロッソが去ることはF1にとっていいことではない」
「すべてのチームを残すことが重要だ。しかしチームは新たに参入したり去っていったりするものだ。数年前には、18カ月のうちにトヨタ、ホンダ、BMWがF1から去っていった。大手コンストラクター3社が去ったが、F1は何とか乗り切った」
「F1のため、彼らがとどまるよう我々も努力しなければならない。しかし我々の力ではどうにもならない部分で撤退を防げなかったとしても、F1は乗り切っていくと思う」
フォース・インディアのチーム副代表ボブ・ファーンリーは、自分の意志で去る者については仕方がないが、小規模チームが資金不足で去らざるを得なくなるような状況を防ぐことが重要だと述べた。
「レッドブルが撤退するなら、それは悲しいことだ。彼らはF1に大きな貢献をしてきた」とファーンリーが語ったとMotorsport.comが報じた。
「しかしF1はレッドブルより大きな存在であり、(レッドブルなしでも)続いていく。6カ月たてばレッドブルの存在など皆が忘れてしまうだろう」
「そういうものなのだ。フォース・インディアが撤退しても同じだ。2週間もすれば『フォース・インディアって何だっけ?』ということになる」
「それがF1であり、それを受け入れるしかない。そういった意味では非情なスポーツだ」
「しかしやめたくはないのにやむを得ずチームが撤退していくような事態は避けなければならない。チームが自身の理由で去るのであれば、それは我々にはどうすることもできない。レッドブルの場合はこれに当たる。だがインディペンデントチームの存在はビジネスの中核であり、その環境を正しい状態で維持することはできる」