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SKE48、グループ初のユニット結成は何をもたらすのか? グループの新たな展開を分析

2015年10月08日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

SKE48『前のめり』

 SKE48が、グループ内から新ユニット「ラブ・クレッシェンド」「キャラメルキャッツ」、「トランジットガールズ」、「フルマリオン」、「デッドストックダイヤモンド」を結成、11月25日に1stシングルをリリースすると発表した。


(関連:NMB48の13thシングルに見る、“選抜”の意味合いの変化 梅田彩佳の選出にも注目


 結成されたユニットのメンバー構成は以下の通り。


・ラブ・クレッシェンド


松井珠理奈、後藤楽々、北川綾巴、江籠裕奈、熊崎晴香、小畑優奈、菅原茉椰


・キャラメルキャッツ


大場美奈、木本花音、佐藤すみれ、惣田紗莉渚、二村春香


・トランジットガールズ


梅本まどか、大矢真那、柴田阿弥、須田亜香里、高柳明音、宮沢佐江


・フルマリオン


古畑奈和、東李苑


・デッドストックダイヤモンド


斉藤真木子、谷真理佳、松村香織、山内鈴蘭


 48グループにおいて、AKB48以外からユニットが結成され、単独でリリースを行うのは初めてのこと。なぜいまこのタイミングで、ユニット企画が始動したのだろうか。『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であるライターの香月孝史氏は、ユニットの構成をこう分析する。


「ユニットの力関係としては、メインに表題曲を歌う『ラブ・クレッシェンド』があり、ほか4組はカップリングとして参加する形ですね。『ラブ・クレッシェンド』はエースでありながら、まだ年齢的には若い松井珠理奈と、北川や江籠といった期待の若手メンバーを組み合わせており、全体的に“次世代の顔とその候補”という位置づけのように感じます。一方、『デッドストックダイヤモンド』にはキャラの強いメンバーを置いたり、中核メンバーを『トランジットガールズ』に集めたり、あるいは他グループでの実績・知名度もあるメンバーも目立つ『キャラメルキャッツ』があるほか、古畑と東の2人ユニット『フルマリオン』も注目度の高い人選ということになりそうです。今回のケースでは、一つの限定的なコンセプトのみによってユニットを作るのではなく、ある程度いろんなポジションにいるメンバーを採用しつつ複数のユニットの束として作り上げることで比較的、グループ全体に役割を与えているように思います」


 続けて同氏は、NMB48が9人体制でコンセプチュアルな13thシングル『Must be now』をリリースしたこととあわせ、SKE48におけるユニット結成の意義を読み解いた。


「NMB48は『Must be now』で9人体制、しかも“ダンス選抜”という形をとっており、ユニットと銘打ってはいないものの、表題曲で実質ユニットを組んでグループのシングルリリースに新しい意味を見出しました。当初はNMB48独自のアクティブな動きのように感じていましたが、SKE48もリリースの形態は違えども、グループをあげてのユニット結成というかたちになったため、48グループ自体の動きとして捉えることもできそうです。これまでAKB48グループにおけるユニットは、特定のタイミングでの旬をすくいとったり、その時にプッシュしたいメンバーをアピールするひとつの方法として、ある時期の勢いをつける役割が主だった機能になっていました。そのため、ユニット自体が結成時のインパクトや安定感を持ったまま、何年も活動を継続させることは難しかったといえます。どうしてもユニットはグループ全体をメインとした場合のサブ的な活動だったわけですが、今回の一連の流れからは、ユニットがグループ全体の見せ方を変革する鍵の一つとして、大きな意味を持つようにみえます」


 SKE48がグループに地殻変動を起こすためのアクションをとった背景には、松井玲奈の卒業も大きいと同氏は指摘する。


「松井玲奈と松井珠理奈がWセンターを務めていた時期のSKE48は、良くいえば形式としての安定感がありましたが、それはまたパワーバランスが定まりすぎていて、足枷になるという難点でもあったように思います。そこから松井玲奈が卒業したことは、絶対的なエースとしての松井珠理奈を相対化できる人物がいなくなったということでもあります。そのため、グループ全体に形式的な変化をつける手段としてのユニット結成は、若手など他のメンバーを活かすうえでも効果的なものなのかもしれません」


 SKE48は今回の発表にあわせ、2016年に2ndアルバムのリリースが予定されていることを明かしたが、同氏は最後のその点にも触れ、同グループの展望をこう語る。


「AKB48は直近のアルバムである『ここがロドスだ、ここで跳べ!』で、大島優子の在籍期間も振り返りつつ、現在の中核メンバーの実力、そして次代を担う若いメンバーの新しい勢いも見せ、グループのこれまでとこれからをはっきりと提示していました。SKE48の2ndアルバムも、同じように“松井玲奈在籍時”と“松井玲奈以降”とを上手く見せて、グループのストーリーや方針を示すものになることを期待しています」


 今回のユニット結成はSKE48のみならず、グループ全体やメンバーのキャリアに大きな影響を与えるものになっていくのだろうか。ひとまずは作品のリリースを心待ちにしたい。(中村拓海)