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スーパーGT参戦100戦を迎えたリチャード・ライアンに訊く

2015年10月07日 12:01  AUTOSPORT web

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2015年のSUGO戦でスーパーGT参戦100戦目を迎えたリチャード・ライアン(中)
今シーズンもAudi Team HitotuyamaからAudi R8 LMS ultraでスーパーGT300クラスに参戦しているリチャード・ライアンが、9月20日に決勝レースが行われた第6戦SUGOでシリーズ参戦100戦目を迎えた。

 現在はGT300クラスに参戦しているライアンだが、GT500クラスに参戦していた時には、ホンダ、ニッサン、レクサスと3メーカーのマシンをドライブ。昨今はメーカー間の移籍が少なくなっているだけに、3メーカーを渡り歩くのは非常に珍しいことと言える。今回、大きな節目を迎えた心境を改めてライアンに聞くと、それぞれのレースの良かったこと、悪かったことを噛み締めながら語ってくれた。

「100戦というのは自分にとっては素晴らしいキャリアだと思うけど、幸運なことだとは言いたくない。良いレースもあったし、悪いレースもあったし、苦労したこともたくさんあった。スーパーGTという最高の舞台で走り続けるために、たくさんの努力をした。毎戦ベストを尽くして頑張ってきた。良いレースも悔しいレースもたくさん経験してきた。だから、気付いたら100戦目を迎えていたという感じだね。ここまでの月日は確かに長いかもしれないけど、自分にとってはデビューからあっという間だったように感じる」

 キャリア通算10勝を挙げ、2004年にはGT500クラスのシリーズチャンピオンを勝ち獲ったライアンだが、ベストレースに挙げたのは、意外にも2010年のJAF Grand Prix FUJI SPRINT CUPだった。通常はふたりひと組で走るスーパーGTだが、ノンタイトル戦としてシーズン終了後に開催されていたFUJI SPRINT CUPでは、2度のスプリントレースが開催され、ふたりのドライバーがそれぞれ1レースずつを担当。10年のこのレースでポールポジションからスタートしたライアンは、序盤から他を圧倒するレース運びで優勝を飾った。

「いちばん思い出に残っているのは、2010年のJAF GPで勝てた時かな。ポールポジションからスタートして、どこで何があったとか細かくは覚えていないけど、自分の速さと強さを見せることができたレースだったね。もちろん、それ以外にも話せばキリがないほど数々のレースで、良い思い出もあれば悪い思い出もあった」

 現在はAudi Team HitotuyamaからGT300クラスに参戦しているライアン。在籍4年目を迎え、チームの中でも欠かせない存在となっている。しかし心の中には「もう一度GT500に挑戦したい」という気持ちも強くあるようだ。

「正直なところ、もう一度GT500に戻ってレースがしたいというのが本音。僕はもっと速く走れるし、これまでの経験を生かして良い仕事ができる自信もある。DTMと統一された現在のマシンも魅力的だし、機会があればぜひ乗ってみたいと思っている。各メーカーとも速いドライバーを求めているのであれば、ぜひ僕に声をかけてほしいね!」

「今はこうしてGT300のヒトツヤマレーシングの一員としてお世話になっている。ここでは、ひとりのレーシングドライバーとしてだけではなく、みんなが家族のように親身になってくれるんだ。まずは、このチームで勝利を挙げること。これが真っ先の目標だよ。そして最終のゴールは、もう一度GT500で走ることだね」

 100戦という節目を迎えた今でも、常に高い目標を掲げて走り続けているライアン。残念ながらSUGOでのレースはポイント圏内に及ばず13位フィニッシュとなったが、今季もまだ2戦残っている。参戦100戦を迎えてもなお高いモチベーションを保ち続けるライアンの今後の活躍にも期待したい。

(Tomohiro Yoshita)