誰でも新人のうちは、先輩や上司の下について仕事を教えてもらうものだ。その際には指示された手順やポイントを忘れないよう、メモを取るのが普通ではある。
このような慣例に対し「新人にメモを取らせる上司は仕事がデキない」という主張がネットで話題となっている。とある30代前半のサラリーマン男性が10月4日、はてなブログに投稿したものだ。
「メモを取るほど重要なことならば、なんで教える側の人間が要点をまとめたメモを事前に作っておかないのか?自分の怠惰を押し付けているだけではないのか?」
教えることは「業務の一環」という意識を要求
仕事内容を熟知しているベテランの方が、新人よりも重要なポイントを把握しているものであり、新人にメモを取らせるのは非効率、ということのようだ。
メモを取らずにいて、内容を再度確認すると「それ教えたよね!?」と怒る上司もいるが、筆者は「教えてもできないのは、ほとんどの場合教え方が悪い」とし、「どんなに素晴らしい内容でも、(相手に)理解されなければ全く評価されないのだ」と書いている。
筆者が最も問題視しているのは、教える側の意識。「忙しいのに教えてやっているんだ」という態度の人もいるが、教えることは親切心で施すのではなく、業務の一環であると指摘。自分も昔は誰かに仕事を教えてもらったんだから、「だったらその恩は、下の世代に引き継ぐことで返していけるのではないだろうか」としている。
確かに話を聞きながらメモすると、聞き漏らしや書き漏らしが発生するリスクはある。上司がマニュアルにしてくれた方が、部下としても助かる。「新人は常にメモ」という一般的な考え方とは正反対の主張だが、これが話題になり、はてなブックマークが400件以上付いた。
「教える側からしても『メモをとってもらう』よりも最初から重要な点を紙に印刷して渡した方が効率良い」
「マニュアルは大事。その人がやめたらまた同じ説明するなんてそれこそ非効率」
自分でメモした方が頭に定着しやすいという指摘も
上司や先輩など教える側の立場からも、部下に口頭で伝えたり、見て覚えろと言ったりするのではなく、ある程度のメモやマニュアルを準備する必要性を認める声がある。ただ、それでもやはりメモは必要になってくる、という指摘も多い。
「要点まとめを渡した上で、そこに自分にとって重要な情報や未知だった情報、再度質問しなくて済むための情報などを書き込んでほしいのですが…」
「ざっくりレジュメ作っておいて、わかんない部分は追加でメモってくれって思う」
また、「マニュアル用意したぐらいで任せられる仕事ならバイトで十分」という厳しい意見も出る。定型的な業務ではなく、その場に応じた指示も多く、事前にマニュアル化できないものもある。
教えてもらってことを記憶に残すためには、自分でメモを取った方がいい、という見方もある。メモをすれば意識が重要なポイントに向かうし、そもそも「人間は忘れる生き物」なので、アウトプットとインプットどちらもやった方が頭に定着する、というのだ。
マニュアル作りを頼めば「一石三鳥」か
また、新人に丸投げという訳ではないものの「マニュアルを作るのが面倒」という書き込みもある。たしかに普段何気なく行っている仕事でも、それを標準化して文書に落としこむのは意外と大変なものだ。
そのため、部下や新人に「メモを取れ」ではなく、マニュアル作成を指示する、という人もおり、「ドキュメントの練習にもなるし素人観点で書いてくれるし一石三鳥」と書いていた。
あわせてよみたい:「教育係を外されうれしい」 先輩社員匿名ブログ