メルセデスF1チームのノンエグゼクティブチェアマンであるニキ・ラウダは、今週末のロシアGPで同チームがシンガポールの週末のような不調に陥ることへの懸念を示している。
今季圧倒的強さを示しているメルセデスだが、シンガポールGPではルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグは予選でそれぞれ5位と6位、決勝ではハミルトンはトラブルによりリタイア、ロズベルグが4位とまったくいいところを見せることができなかった。
シンガポールGP決勝直後には不調の原因が分からないと述べていたメルセデスだったが、ハミルトンによるとその後の調査によってチームは原因を理解し、解決法を見つけ出したという。ハミルトンは詳しくは説明していないものの、セットアップの方向性が間違っており、さまざまな要因による連鎖反応でスーパーソフトタイヤのスイートスポットを見つけることができなかったと示唆している。
続く日本GPではメルセデスの2台がフロントロウを独占、決勝でも1-2を飾り、チームは安堵した。しかしシンガポールと路面が似通い、同じタイヤコンパウンドが選択されたロシアで再び同じ問題に見舞われる可能性がないとは言えないとラウダは述べた。
「ありがたいことにシンガポールGPのトラウマから抜け出し、復活することができた。それは確かだ」とラウダ。
「いるべき位置に戻ることができて本当にほっとした。単純なことだ。やるべきことをやっているからだ」
「だが選手権争いが終わったわけではない。次のソチもシンガポールと同じタイプのアスファルトなので心配している」
「まだ終わったわけではない。簡単にいくものではないのだ。努力を続け、競争力を維持していかなければならない。好調ではあるが、目標を達成して初めて好調と言えるのだ」
昨年ソチで初開催されたロシアGPではソフトとミディアムというコンサバティブな選択がなされた。その結果、1回ストップで走り切ることがたやすくなり、1周目にタイヤ交換したニコ・ロズベルグですら残りの52周をミディアムタイヤで走り切ることができた。
そのためピレリは2回から3回ストップのレースを主流にするために、今年は最も軟らかい組み合わせであるソフトとスーパーソフトタイヤを選んだ。
メルセデスのエグゼクティブ・テクニカルディレクター、パディ・ロウは、タイヤ選択が変わったことで今年は幾分予測不可能な面が出てくると予想している。
「去年は難しい週末だった。新しいサーキットの新しいターマックについて学ぶ必要があったからだ。それによってタイヤがいつもとは少し違う挙動を見せた」とロウ。
「今年はコンパウンドを一段階軟らかくし、ソフトとスーパーソフトが導入された。去年ニコがほぼ全周回数を1セットのタイヤで走りきったことが影響したのだろう」
「1年たてば路面は変化する。起こり得るすべての事態に対処できるようにしておく必要がある」