トップへ

初登場1位の『バクマン。』、はたして『モテキ』超えなるか!?

2015年10月06日 12:21  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)2015映画「バクマン。」製作委員会

 先週末の動員で初登場1位となったのは『バクマン。』。土日2日間で動員18万4263人、興収2億5160万7900円という成績。東宝配給、マンガ原作、企画・プロデューサーが川村元気、脚本・監督が大根仁といえば、4年前に最終興収22.2億円というスマッシュヒットを記録した「モテキ」とまったく同じ座組である。ちなみに『モテキ』の公開週土日2日間の興収は2億4578万0400円だったので、初動はほぼ同じ。ただし、『モテキ』が276スクリーンでの公開だったのに対して、『バクマン。』は325スクリーンでの公開と、東宝としては『モテキ』以上のヒットを想定していたはずだ。


参考:映画『バクマン。』に溢れる、マンガへのリスペクトーー松谷創一郎がその意義を考察


 原作への深い愛情と理解が作品から滲み出ていて、若手の俳優陣からの信頼も厚い。つまり、日本の大手映画会社によるマンガ原作作品の監督にありがちな受け身の「お仕事」感がないという点で、とても貴重な存在である大根仁監督の待望の新作であること。原作の人気で比較するなら『バクマン。』は『モテキ』よりもはるかにパワーがあること。作品の前評判も非常に高かったこと。それらを踏まえると、この数字は少々意外だった。


 もっとも、「長澤まさみがエロい」「Perfumeが突然出てきて踊り出す」などの仕掛けやギミックが噂になり、作品への評価が賛否はっきり分かれたことでも大いに話題となった『モテキ』に比べると、今回の『バクマン。』は事前の「バズり」という点において少々弱かったか。また、キャスト人気から当てにしていたはずの女性ティーン層にとって、作品のテーマ(恋愛要素の少なさ)のツカミが実は弱かったこと、先週末も2位と相変わらず好調をキープしている『ヒロイン失格』とターゲットがバッティングしていることも影響しているのかもしれない。作品の仕上がりはとても良いので、ここからの健闘に期待したい。


 実際に先週末のランキングを見渡してみると、3週目にして5位をキープしている『心が叫びたがってるんだ。』、4週目にして10位から8位にラックアップを遂げた『キングスマン』、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』からIMAXや4DXやMX4Dのスクリーンを奪い返したこともあって9週目にしてまだ9位とここにきてまた粘りを見せている『ジュラシック・ワールド』と、口コミやネットで高評価が巷に浸透している作品は、確実にロングヒットを記録していることがわかる。8月からここまで2ヶ月間当コラムを毎週執筆し続けてきて強く思うのは、「日本の観客を見くびってはいけない」ということだ。(宇野維正)