2016年卒学生に対する主要企業の採用内定が10月1日解禁され、各地で内定式が行われた。同日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、採用時期が繰り下げられた今年、就職活動や学生生活にどのような影響があったのか取材していた。
去年までは採用の選考活動解禁は4月1日だったが、学業優先を掲げる政府の要請を受けた経団連は、今年から選考活動の解禁を8月1日へと4か月繰り下げ。三井住友銀行が開いた内定式には、去年とほぼ同じ約1800人の内定者が参加。その1人はこう語る。
「先輩方は内定をもらう時期が早かったので、その分、部活に対する集中度や、それ以外のことを始めている方もいて……。学生生活最後の1年の充実度は、うらやましいものがありました」
「大学3年の3月までに就職先を決定すべき」という提案も
一方、社員80人の中小企業アクロクエストテクノロジーは、理系の学生中心の内定者8人と、お酒を飲みながらの内定式。式というより、店を借りての親睦会という雰囲気だ。
同社は経団連に加盟していないため、去年の12月から内々定を出しはじめたが、社長の新免流氏は「大企業が解禁されてからでないと、中小企業やベンチャーに学生は集まってこない」と、今年の採用活動のむずかしさを振り返る。
自社への入社を希望する学生を、ビジネスの現場や海外研修を体験させるなどして、ていねいにつなぎ留めを図ってきた。新免社長は「学生は大学3年の3月までに就職を決め、4年はしっかり研究に打ち込んで卒業してもらいたい」と希望を語った。
中小企業の代表である日本商工会議所の会頭、三村明夫氏は、このまま同じ形で来年いくのはまずいとして、スケジュールの見直しを求める方針。不満をこう表明する。
「就活時期を遅らせているところと、早くからやっているところの二極分化している。正直にやっているところがバカを見る制度。これは放っておけない」
とはいえ、もともと企業は競争する宿命なのだから、ルールを守れといっても仕方がないのではないだろうか。規制を撤廃して自由化する考えもあるし、慣れの問題だからもう少し続けるべきという声もある。しかし「学生生活が充実しない」という声だけは、どうしても無視できない。(ライター:okei)
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