ルノーF1は今季パワーユニットのアップグレードをアメリカGPで行うことを目指すと明言している。しかしレッドブル・レーシングのチームプリンシパル、クリスチャン・ホーナーは導入時期は不確かであると発言、ダニエル・リカルドは大きな改善は期待していないと示唆した。
F1エンジンレギュレーションが変更された2014年以来、ルノーは信頼性およびパフォーマンス不足に苦しんでおり、それに不満を持つレッドブルは、契約を今季末で早期終了する意向を固めた。一方のルノーはワークス参戦に向けてロータスF1チームの買収に動き、基本合意に達したことが明らかになっている。
ルノーは今季まだトークンを使ったアップグレードを行っていない。全12トークンをすべて使用した新仕様をロシアGPに導入することを目指すと当初述べていたルノーだが、これをアメリカGPに遅らせることをすでに決めている。パーツは用意できているものの十分なテストを行っていないのだという。
「ソチに最新仕様のパワーユニットを導入する予定だった。パーツは間に合う見込みだ。しかし評価作業がまだなのだ」とルノーのヘッド・オブ・トラックサイドオペレーションズ、レミ・タファンが述べた。
「何か変更を行う前には信頼性チェックのためにダイナモでのテストをすべて終える必要がある」
「それにはもう少し時間がかかる。手っ取り早い方法を用いていい問題ではないので、オースティン導入がより現実的といえる」
こういったルノーの発言を受け、アップグレードの状況についてどの程度把握しているかと聞かれたホーナーは「(導入が)いつになるのか、私にははっきりとは分からない」と答えた。
「ソチでないことだけは確かだ」
残り5戦の段階でレッドブル・レーシングのリカルドとダニール・クビアトはすでに7基目のICEを投入している。新しいエンジンを投入する際にはグリッド降格のペナルティを受けることになるため、トラブルにより交換が必要である場合以外は、パフォーマンス向上によるメリットと降格によるダメージを考え合わせ、アップグレード版をあえて導入しない可能性もあると、ホーナーは明かした。
さらにリカルドは、アップグレード版に大きな期待はしていないと述べている。
「使えるものを使うだけだ。40馬力向上するようなことはないだろう。今のものよりはいいだろうけど、大喜びできるようなものではないと思う。0.5秒の短縮につながることはないだろう」
降格ペナルティを受けても交換する価値があると思うかと聞かれたリカルドは「進歩の度合いによるけれど、僕が聞いている限りではそれほど大きな進歩ではないようだ。だから判断が難しいところだね」と答えた。