ニッサンは1日、『ニッサンGT-R LMニスモ』で2016年シーズンにWEC世界耐久選手権へと復帰することを発表した。今シーズン残りのレースを欠場して16年に向けた開発プログラムを進めるとともに、チーム代表変更などの組織改革も行われている。
ニッサンは今年、16年ぶりにスポーツカー耐久レースのトップカテゴリーへと復帰。FFレイアウトのGT-R LMニスモを開発し、WECへのフル参戦を発表していた。ただ、開発の遅れによりシリーズの開幕2戦を欠場。ル・マン24時間には3台体制での参戦を果たしたものの、3台ともに多くのトラブルに見舞われて完走はならなかった。その後、ル・マンで発生した技術的な問題を解決するためとして、ル・マン後のシリーズ戦への参戦を延期することを発表していたが、復帰の時期は「テストの進捗状況によって」決まるとしていた。
第4戦ニュルブルクリンク、そして第5戦オースティンは欠場しているほか、10月9日~11日の富士戦のエントリーリストにも名を連ねていなかったニッサン。1日、16年からのレース復帰を発表した。つまり、残る富士戦、上海戦、そして最終戦のバーレーン戦は欠場することになる。
すでに新たなマシンのテスト/開発プログラムが進んでおり、複数の変更が加えられているということだが、“オリジナルのデザイン方針”は維持される。現在は、GT-R LMニスモの当初のコンセプトである、8MJのハイブリッドシステムを搭載し、このシステムで後輪も駆動することを目指して作業が進められているようだ。ニッサンのスポークスマンは「しばらく前から、エネルギー回生システムの開発が進められています」と話す。
GT-R LMニスモは、英トロトラックが開発したハイブリッドシステムを採用していたが、現在は新たなサプライヤーがシステムを開発していると見られている。
さらにニッサンのLMP1チームは、メキシコニッサンからニスモへ移ったマイク・カルカモを新たなチーム代表に起用。カルカモのもとで組織の再構築が行われている。元来チームを率いていたベン・ボウルビーは、テクニカルディレクターとしての役割に集中することになった。
「ベンは自身の手で全てのことを行おうとしていた。デザインの管理や組み立てだけでなく、レースやテストのオペレーションもだ」と話すのは新チーム代表に就任したカルカモだ。
「それは誰にとっても困難なことだ。特に、この開発のレベルで必要とされるコンセプトではね。私のニッサンエンジニアリングのプロセスの知識とプロジェクトプランニングの経験は、ベンと、チームが約束通りにマシンを作ることに集中するのに役立つだろう」
なおニッサンは先週、2日間の日程で、オースティンでオリビエ・プラとハリー・ティンクネルがステアリングを握ってのテストを実施している。マシンはル・マン同様にハイブリットパワー無しで走行したということだが、ニッサンは「以前より大幅に速くなり、大きな信頼性の問題も発生しなかった」としている。
ニッサンのグローバルモータースポーツを率いるダレン・コックスは、16年に向けて次のように話した。
「照準は固く2016年に定められている。我々はマイクのプロジェクト管理をサポートし、ベンとチームは我々が期待しているパフォーマンスを達成できると確信しているよ」