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今宮純による日本GPドライバー採点&短評

2015年10月01日 22:01  AUTOSPORT web

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ホンダの地元で苦しいレースを戦い抜いた、チャンピオンたちに異例の五つ星
今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。F1第14戦日本GPの週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視して採点する。(最高点は星5つ☆☆☆☆☆)

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☆ アレクサンダー・ロッシ
 130R危機一髪。42周目にウィル・スティーブンスが高速スピン、背後でチームメイト・バトル中だったロッシが瞬間技で回避。2台全滅クラッシュしていたらセーフティカー出動、終盤もうひと波乱あった。20台全車完走(ストップしたフェリペ・ナッセ含む)は鈴鹿の新記録、2011年ヨーロッパGP以来4年ぶり。マシン&パワーユニットの信頼性とドライバーたちの集中力、つめかけたファンのみなさんも感じただろう。

☆ ダニール・クビアト
 Q3終了間際に、ヘアピン手前コーナーで左側の両輪をコースから外してスピン。その先のクリッピングポイントを注視していてラインが乱れたのだろう。以前に国内レースで同じような事故が起き、マシンはヘアピンの奥まで突進して、やっと止まった。負傷は免れても痛みで熟睡できなかったに違いない。全交換で修復されたマシンで、ぶっつけ本番、力走の13位。

☆☆ ニコ・ヒュルケンベルグ
 1周目に13番手から8番手に上がると、当面の敵ロータス勢より早めにピットストップを実行。出し抜いた6位は今季自己ベストタイ、堅実なドライビングで8点を追加。先週シンガポールはセルジオ・ペレス、今週は彼。「どうだ、いいコンビだろう、ウチは」とチーム首脳も笑顔で胸を張る。ふたりの差は1点、確かに名コンビだ。

☆☆ ニコ・ロズベルグ
 スタートから2コーナーまでが勝負ポイント、そうイメージして見つめた。けして悪くない蹴り出しだったがルイス・ハミルトンに並ばれ、アウトサイドへ。雨が続いた鈴鹿は本来グリップが高いアウト側(レコードライン)の有利さが薄れ、2コーナー出口で抜かれた。4番手から挽回した2位は“最善”の結果でも、自己ベストラップはハミルトンより1.002秒も劣った。「まだ、あきらめないぞ」──もっと剥き出しにしないと。

☆☆☆ マックス・フェルスタッペン
 初体験の雨の鈴鹿、金曜FP1開始早々からインスタレーション・ラップで一番速く、また驚かされた。まっさきに計測ラップに入り、トップタイムをマーク。スプーン手前にある“川”で滑っても緩めない。『世界一速い17歳』、大器の片鱗を雨の初日に見た。

☆☆☆ ロマン・グロージャン
 セクター1は、ややアンダーステア気味でも我慢。ここにバランスを合わせると西コースで逆にオーバーステアに陥る。セッティング方向性を、しっかり定めて得た予選8位に「予想以上の順位だ」と満足気。ヒュルケンベルグを追跡し続けたレースで、33周目に右前輪が壊れてピットへ。高速セクションで起きていたら一大事、シケインで良かった。祝・ハース加入決定。

☆☆☆ ルイス・ハミルトン
 スタートから2コーナーで見せつけた勝負強さ。きついインサイドラインをとりながらサイド・バイ・サイドに持ち込み、「自分のコーナーだ」とロズベルグを刺した自信。強靭なメンタルパワーが、いま100%備わっている。また今年もポールポジションを獲れず、シケインのミスを反省。入口重視で突っ込み型のハミルトン、鈴鹿では予選よりレースに強い。162戦41勝、鈴鹿で『憧れのセナ』に並び、3冠にまた近づいた。

☆☆☆☆ パストール・マルドナド
 グロージャンを上回る決勝“最速ラップ5位”が光る。第2スティントでミディアム24周ロングラン、落ち着いたペースで今季ロータスのベスト・ダブル入賞を。木曜午後から、やっと準備作業に取り組むことができた彼らを讃えたい。こういうチームをなくしてはいけない。そのためにもマルドナドの存在(資金)は必要不可欠、グロージャンより☆ひとつプラスした理由は、それだ。

☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
 パワーユニットの制御設定に何か問題があるのではないか、と土曜FP3をセクター1で見ていて感じた。8位に終わったベッテルはQ1を7位、Q2も6位でキミ・ライコネンに先行された。流れは良くなかったが、それをQ3で変えて予選4位を確保したのはさすが。今年フェラーリに来て修正能力が著しく、レッドブル時代とは変わった。2位の座を、2度目のピットストップで奪われて3位ゴール。惜しかったが、マシン戦力的には妥当な結果だ。対ロズベルグ11点差、フェラーリの現実目標はベッテルのランキング「2位獲り」。直近5戦で83点はハミルトンと互角、ロズベルグ52点を超えている。

☆☆☆☆☆ フェルナンド・アロンソ
 決勝前、ホスピタリティ裏でばったり出会った時の表情は、まるで巌流島の宮本武蔵。「GP2エンジンかよ、くそっ!」。事実なのだから、叫ぶ気持ちは解る。もしもセナがこんな状況だったら、もっと痛烈な放送禁止用語を叫んだだろう。当時はドライバーの無線が中継に乗ることはなかった。レース後、ある現場ホンダ・スタッフは「いつもアロンソさんには『絶対あきらめないからな』と言われています。それが僕たちの励みなんです」。批判は激励、現場スタッフたちは受けとめている。 

☆☆☆☆☆ ジェンソン・バトン
 決断したときの男の表情は柔和で爽やかになる。鈴鹿入りした彼の顔には、にごりが見てとれたが……。1周入魂、コーナリングに打ち込むも、直線では軽4輪がスーパーカーに抜かれるようだった。レーサ―にとって、これ以上の屈辱はない。自己ベストラップは1分40秒台、下にはマノー勢2台のみ。彼自身の鈴鹿ワースト完走16位に、ここで五つ星を奢る。