世界ラリー選手権(WRC)のプロモーターは、中国を含む全14戦で構成される2016年カレンダーを世界モータースポーツ評議会(WMSC)に提出した。しかし、WRCに参戦するマニュファクチャラーはこれ以上の大会数増加を望んでおらず、今回のスケジュールに怒りを露わにしている。
シトロエンCEOのリンダ・ジャクソンは、大会数が増えた場合、予算の関係でWRCから撤退せざるを得ないと以前から述べている。加えて、シトロエンは2017年シーズンにWRCか世界ツーリングカー選手権(WTCC)のどちらかでワークス活動を終了する予定であることも明らかにしていた。
英AUTOSPORT.comに対し、あるマニュファクチャラーの関係者は「クレイジーな案だ」とコメントしている。
「どうして、こんなスケジュール案に賛成すると思ったのだろう? 彼らは急に予算が湧いて出てくると思っているのだろうか?」
「申し訳ないが、話し合いのテーブルに着く気にもなれないね」
「もし全14戦のスケジュール案が承認されたら、参戦継続は不可能だ。ほかのどのマニュファクチャラーも同じ答えをすると思うよ。14戦は不可能だとね!」
一方で、FIA会長のジャン・トッドは今月上旬に、「もちろんマニュファクチャラーの意見は尊重する。しかし、最終的なラウンド数を決める権限はFIAにある」との見解を示している。
また、WRCプロモーターがWMSCへカレンダーを提出する前に、参戦メーカーに対してアンケートを実施したことも明らかとなった。
アンケートは全2問で、1問目は“年間14戦のラリーを望むかどうか”という質問にイエスかノーの2択で答えるもの。もう1問は、年間13戦を望むのであれば、カレンダーから脱落させるイベントをひとつ指名するというものだった。
WMSCでは、アンケート結果を踏まえた議論が行われているが、マニュファクチャラーの多くが中国ラウンドに肯定的な立場を示しているため、議論の焦点はどのイベントを脱落させるかに移っているとみられる。
なお、英AUTOSPORT.comによればツール・ド・コルスとラリー・モンテカルロの主催者は、来季の開催契約をWRCプロモーター及びFIAと締結していないという。